女子ケイリンは、佐藤水菜(23=日本競輪選手会)が元世界女王の李慧詩(香港)を力勝負で下して優勝した。男子スプリントでは、寺崎浩平(28=日本競輪選手会)が決勝3本目で相手の失格により頂点に立った。

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元世界女王に真っ向勝負で勝った。決勝残り1周。李慧詩がスパートした姿を確認した佐藤は「ギリギリまで引きつけて、引きつけて」と、完璧なタイミングでまくりを打った。世界トップと互角に渡り合えるダッシュで踏み合わせ、先頭でゴールに飛び込んだ。

20年7月にナショナルチーム入りしてから2年。今や、女子短距離界の若きエースに成長した。21年の世界選手権ケイリンで銀メダルを獲得し、今年6月のアジア選手権(インド・ニューデリー)のケイリンで頂点に立った。アジア選手権に不在だった李との新旧“女王対決”を制し「アジア王者としてしっかり優勝したいと思っていた。前に戦ったときは番手で何もできなかった。今日は自力を出して戦おうと思っていた」と、自身の成長をかみしめていた。

競技に加え、今月は女子のトップレーサーが集まった競輪のG2開催にも出場。過密日程から体重も落ちたというが「昨日(28日)少し食べられたので良くなってきそう」と、回復も人並み外れている。

3日目はスプリントに出場。28日の予選では10秒774を出し、日本記録10秒711更新も期待がかかる。「自己ベストを更新できるように」とサトミナ。この勢いはパリまで続きそうだ。【山本幸史】

◆佐藤水菜(さとう・みな)1998年(平10)12月7日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。茅ケ崎高卒。競輪学校(現養成所)114期生として18年7月の四日市でデビュー。女子ケイリンで21年世界選手権銀メダル、今年6月アジア選手権で金メダルを獲得。163センチ、59キロ。血液型A。

○…男子スプリント決勝は寺崎が制した。1対1で迎えた3本目、レース中盤に接触し落車。相手の失格で優勝が決定した。「先週胃腸炎になってしまい、状態も(予選)タイムも良くなかった。自分はスプリントの経験が少ないし、タイムも世界と比べると遅い」と複雑な表情を浮かべた。国内代表争いへ、さらなるレベルアップを誓っていた。

▽男子スプリント(1)寺崎浩平(日本競輪選手会)(2)(中野慎詞が失格のため空位)(3)太田海也(日本競輪選手会)▽女子ケイリン(1)佐藤水菜(日本競輪選手会)(2)李慧詩(香港)(3)太田りゆ(日本競輪選手会)▽男子マディソン(1)窪木一茂・今村駿介組(2)橋本英也・児島直樹組(3)韓国▽女子オムニアム(1)内野艶和(日本競輪選手会)(2)リー・ジー・ウィング(香港)(3)古山稀絵(日体大大学院)