明成(宮城)の超高校級センター、八村塁(3年)が30得点の活躍で初戦を突破した。201センチの長身を生かし、14リバウンドと空中戦も支配。前橋育英(群馬)を圧倒し、3連覇を狙うチームを3回戦に導いた。卒業後は全米大学体育協会(NCAA)1部のゴンザガ大への進学を希望する期待の星が、夏の全国総体と合わせた高校2冠へ、圧倒的な存在感を見せつけた。

 20年東京五輪の星、八村が初戦からエンジンを全開させた。第1クオーターに12得点をたたき出して明成を波に乗せた。両チーム最多の30得点。「初戦が大事だと思った。みんな落ち着いて、出だしからやれた」。自己評価よりも、100点ゲームで3連覇へ好発進したことを喜んだ。

 リングに背を向けながら、振り向きざまに何度もシュートを沈めた。ゴール下ではマークを集中させておとりになり、外でフリーになった選手にパスも出す。6月に高校生でただ1人、日本代表候補に選ばれ、合宿にも参加した。「人に対して合わせたプレーをしたりした」。個の力ばかりに頼らない、正確な連係プレーを全国の舞台で実践してみせた。

 昨年はテレビで八村を見たという前橋育英・加賀谷寿コーチは、実際に対戦して「ドリブルなど総合的なところがうまくなった。気持ち的にも余裕がある。今の高校生なら、だれも止められない」と脱帽した。リバウンドも両チーム最多の14を数えた。身長は昨年より3センチ伸びて201センチ。今も体は成長を続けている。

 NBA入りの大きな夢を抱き、高校卒業後は米国の名門ゴンザガ大へ、来年9月の入学を目指す。渡米前に成し遂げたいのは大会3連覇。夏の全国総体は初優勝したが、宮城のほぼ単独チームとして出場した秋の国体は、土浦日大主体の茨城に決勝で敗れた。その悔しさも心に秘め、日本バスケット界の至宝は高校2冠へとひた走る。【久野朗】

 ◆八村塁(はちむら・るい)1998年(平10)2月8日、富山市生まれ。奥田中1年からバスケットボールを始める。明成では入学直後から主力。13年U-16日本代表でアジア選手権3位。14年U-17日本代表で世界選手権に出場し、1試合平均22・1得点で得点王。家族は西アフリカ・ベナン人の父と日本人の母、弟、妹2人。弟阿蓮(あれん)は明成1年で既に兄弟同時にコートに立っている。201センチ、98キロ。