女子の由利(秋田)が3回戦で昨年度準Vの就実(岡山)にストレート勝ちし、大会が6人制になった1963年(昭38)度以降初の8強進出を果たした。準々決勝で金蘭会(大阪第1)に敗れたものの、唯一の公立校として輝いて見せた。男子の仙台商は昨夏の全国高校総体と同じ3回戦で近江(滋賀)にストレート負けし、雪辱することができなかった。東北勢は男女ともにすべて姿を消した。

 公立校として唯一全国8強入りを果たした由利が、伝統のレシーブで聖地・東京体育館にその名をとどろかせた。3回戦で昨年準Vのシード校・就実をストレートで下し6人制となって初の8強入り。序盤から猛攻にさらされたが、とにかくボールを拾いまくった。そこで、Vプレミアリーグ上尾入りが内定している吉野優理(3年)が、6本のブロックアウトを奪うなど効果的に加点し突き放した。続く準々決勝で4年連続4強入りを果たした金蘭会に敗れはしたが、ここでも「スッポンレシーブ」で何度も食らいつき、メインアリーナをどよめかせた。

 まだ9人制だった59年度大会で、由利は準優勝している。それ以来、半世紀以上も脈々と受け継がれてきた伝統のレシーブに磨きをかけてきた。4時間に及ぶ毎日の練習で、その8割をレシーブ練習に費やしてきた。就任10年目で7度目の春高となった菅原清監督(53)は「勝ち上がるためにレシーブ力を徹底的に鍛えてきた。大会に入ってからもどんどん成長していってたくましくなってくれた。これからも粘り強い伝統のレシーブを、こつこつ積み上げていくしかない」と自身初の8強入りを果たし、手応えを口にした。

 高さとスピードで圧倒する金蘭会を相手に3本のブロックアウトを奪って気を吐いた吉野は「4強入りが目標でしたが最低目標が8強入りだったので、ここまで来れて良かった。最後はつなぐだけしかできなかったが、この結果は自信につながる。自分にはまだ先があるので実業団で挽回したい」。菅原監督は「吉野にはコートの中の監督として気迫でチームを引っ張ってもらった。この悔しさをプレミアで晴らして秋田の星として世界に飛び立っていってもらいたい」と期待を寄せた。【下田雄一】