柔道の世界選手権(9月、アゼルバイジャン)男子60キロ級代表で2連覇を狙う高藤直寿(25=パーク24)が29日、グランプリ(GP)ザグレブ大会を終えて成田空港に帰国した。

 同大会では、世界王者として臨機応変な試合運びでライバルらを圧倒した。立ち技ではなく、寝技を中心とした展開で進化を示した。「相手に研究されている立ち技が難しくなっている分、寝技で勝ちきる。そこは成長だと思う。自信もついた」と充実した表情で振り返った。

 今月上旬のスペイン合宿後は、1人で都内の味の素ナショナルトレーニングセンターにこもって「体重調整合宿」を2週間行った。初の試みで出稽古の他、炎天下の中でサウナスーツを着用してランニングや食事調整などを図った。「体重も早めに落ちて、精神的に余裕を持って臨めたことも大きかった。今は強い相手とやっても負ける気がしない。油断だけしないようにしたい」と、2カ月後に迫る世界選手権に向けて気を引き締めた。

 男子66キロ級では、世界王者の阿部一二三(20=日体大)が準々決勝でまさかの一本負けした。国際大会では15年7月以来3年ぶりの黒星を喫した。これを受けて高藤は「びっくりしたし、世界選手権じゃなくて本当に良かった。阿部くんも人間でしたね」と、横にいる阿部をチラッと見ながらさらなる成長を促した。