12年ロンドン・オリンピック(五輪)女子ダブルス銀メダルで今季限りの引退を表明している藤井瑞希(30)垣岩令佳(29=再春館製薬所)組が、最後の試合で力を出し切った。リオデジャネイロ五輪金の高橋礼華(28)松友美佐紀(26=日本ユニシス)組との初の五輪メダリスト対決で接戦の末、0-2で敗退。試合後は戦った4人全員がコートで涙した。

1分1秒でも長く、とフジカキの2人は息をきらして球を追った。予選から勝ち上がって実現した後輩タカマツとの5年ぶりの戦い。第1、2ゲームともに粘り強く接戦に持ち込んだ。51分の戦いを終えて最初に涙したのは相手の高橋。つられるようにめったに泣かない松友も目を潤ませた。「お疲れさま」とねぎらわれ、4人そろって泣いた。

まだ団体戦S/Jリーグに出場の可能性はあるが、これが事実上の引退試合。藤井は「高橋松友とは最後にできて、自分たちのプレーも全力で出せたし、大満足。感謝の気持ちでいっぱい」。垣岩も「幸せなバドミントン人生でした」とすがすがしく振りかえった。

青森山田高時代にコンビ結成。12年ロンドン五輪後に1度解散したが、藤井の地元熊本の大地震を機に、昨年再結成した。支えとなったのは2人の強固な絆だ。1学年上の藤井は「めちゃくちゃ怒って、かわいそうだなと思う時もあった。本当につらかったと思うが、最後までついてきてくれた」。垣岩は「何くそと思うこともありましたが、いつも愛情のある怒り方だった」。この日も「思いきって、楽しんで」。藤井の言葉に垣岩が応え、2人で力を出し切った。今後は藤井は競技普及、垣岩は指導者と新たな道を進む。【高場泉穂】