男子シングルスで、世界ランク5位の張本智和(15=エリートアカデミー)が、男女シングルスで大会史上最年少優勝を決めた。決勝で世界ランク4位の林高縁(23=中国)と対戦。4-1で下した。日本人としては14年の水谷隼以来の優勝。今年1月に全日本選手権を史上最年少V。6月の荻村ジャパンオープンに続いて国際タイトルを手に入れた。

試合開始直後から「チョレイ!」と叫び、自らのテンションを最大にした。得意のバックハンドだけでなく、比較的苦手だったフォアも巧みに使い、リズムをつかんだ。1-1で迎えた第3ゲームは、6連続得点で勢いに乗り、主導権を握った。

大会前、日本代表の倉嶋洋介監督に「弱点らしい弱点がなくなってきている」と言わせるほど、張本は猛スピードでレベルアップを遂げている。苦手だったフォアサイドを克服しつつある。

以前は弱点のフォアばかり攻められると強みのバックハンドへの意識が希薄になり、ミスが出ていた。しかし、今では「フォアを突かれるのが当たり前」というメンタルを持ち、さらに筋力強化を徹底。「以前はふわふわしていた下半身が崩れなくなり、フォアも安定した。そこからバックにも戻れるようになった」(倉嶋監督)と、すごみを増している。

大会中も成長を遂げた。準決勝前、相手がカルデラノ(22=ブラジル)に決まった際、協会関係者が心配の声を口にしていた。「カルデラノは(台から)引き気味に位置取りし、ラリーで対応してくる。智和は苦戦するだろう」。しかし、若干15歳だが冷静さを保ち、その技巧派をものともせずに、4-0で圧勝した。

来年は東京五輪選考シーズン。張本は「グランドファイナルを19年シーズンの初戦と捉えて戦いたい」と話していた通りに、有終の美を飾った。