無料でTシャツなどのオリジナルグッズを作るサービスが、アマチュアスポーツ界で話題だ。

衣料品メーカー「プラスワンインターナショナル」(本社・香川県高松市)は、オリジナルグッズ販売を通じてアマチュアスポーツ選手を支援している。各選手から無料でデザインを請け負い、Tシャツやポロシャツなどを製造。専用サイトで販売して、売り上げを折半する。このサービスに参加する選手は、1年前に比べて約30倍に急増したという。同社の新開強社長(43)は「特に昨年の秋ごろから問い合わせが増えて、驚いています」と話した。

同社は99年に開業。飲食店などの従業員の制服や、イベント時にスタッフが着用するTシャツなどの企画・製造を手掛けている。ネット通販にもいち早く進出して販路を開拓し、年間約227万点を販売。デザイナーも在籍し、プリント加工などの工場もあるため、少量多品種の製造ノウハウを持つ。また、注文を受けてから生産することで、初期費用がかからず在庫を抱えない体制を構築した。当初は主婦や学生の間で人気が出たが、口コミで広がり、資金力のないアマチュアスポーツ選手からも注目されるようになった。

これを受けて、同社は昨年5月にアスリート支援サイト「Get Support Project」を立ち上げた。現在はビーチバレー女子の酒井春海(23)らのTシャツなどを販売。Tシャツであれば、3000~4000円が中心だ。選手は売り上げの5割を受け取り、それを遠征費などの活動資金に充てている。SNSの普及により、ファン獲得やグッズ販売にとっても追い風となっている。

この背景には、アマチュアスポーツ界の「金欠問題」がある。五輪やパラリンピックなどの出場を目指す選手は、用具の調達や練習場の確保、海外遠征などの費用を捻出する必要がある。人気競技との格差は歴然で、日本代表でも大手企業がスポンサーにつく選手はごく一部で、自腹で捻出して活動資金の確保に苦労している選手は少なくない。

同社は1年3カ月後に迫る20年東京五輪・パラリンピックに向け、積極的にアスリートの参加を呼び掛ける。現在は、パラリンピック選手とも交渉しているという。新開氏は「アスリートは夢を与える仕事。このサービスを通じて、選手たちが競技に集中するためのお手伝いが出来たらうれしいです」と切望した。【峯岸佑樹】