レスリングのグレコローマンスタイルでリオデジャネイロ五輪銀メダルの太田忍(25=ALSOK)が“イップス”克服を誓った。22日、ベラルーシで行われる国際大会へ向かう成田空港で取材に応じ、「胴タックルに入る怖さがあるけど、やっていかないと」と見通した。

前日21日に都内で行われた世界選手権(9月、カザフスタン)の五輪非実施階級のプレーオフで、63キロ級の代表に決まった。主戦の60キロ級は6月の全日本選抜決勝で敗れた文田健一郎(23=ミキハウス)が代表に決まっており、暫定的に63キロ級で世界一決定戦に臨む。文田がメダルを獲得した場合は東京五輪代表に内定するため、他力本願で結果を待つ身で、1つ上の五輪階級の67キロ級も視野に入れる。

その中で課題に挙げたのが、胴タックル。リオで決勝まで勝ち上がったのは、がぶり返しとの両輪があったからこそだが、リオ前から首痛を抱えており、近年は自粛してきた。「ぴきっとなる」という痛みこそいまはないが、「入ろうとするとちゅうちょするというか。イップスみたいになっている」と明かした。練習では時に入れることもあるが「『あ、入った』と思って自分でもビックリしちゃう」状態にあるという。

これを意識して繰り出していく必要を感じている。相手の首を落としてかけるがぶり返しに、本来の胴タックルが復活すれば「上下の組み合わせ」となり、揺さぶれる。60キロ級でも67キロ級でも悲願の五輪金メダルへは必須の技となる。

海外ではその俊敏な身のこなしから「忍者レスラー」と呼ばれてきた。前日のプレーオフ時には「体重を増やしたり、減らしたり、すぐにできる。スポンジみたいなので、『スポンジ・ボブ』でお願いします。もう忍者みたいな動きはできないし」と新愛称をアピールしたが、胴タックルが復活すれば「忍者」も復活するに違いない。