北海道選手権3位で出場の北見工大ペア、飯島奈都美、鹿野大貴(ともに24)組が決勝トーナメント進出に前進した。チーム軽井沢を10-1で下すと、次戦でも船木、工藤組(東北ブロック)を8-3で撃破。通算成績を4勝1敗としCブロック暫定2位につけた。大学入学後に競技を始めた2人はともに大学院修士2年。3月に卒業を控え、学生最後の大会で集大成のカーリングを見せる。

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日本最高峰の舞台。氷上に立つ北見工大ペアに絶え間なく笑みが飛び交う。この日2連勝で予選突破が見えてきた。飯島が「楽しくないと勝てないのがうちのチーム」と言えば、鹿野も「駆け引きを楽しみながら勝ちきる試合をしたい」。道選手権3位からの快進撃の道筋は見えた。

互いに大学院の修士2年のインテリペア。修士論文で「氷とストーンの状況」をテーマにする鹿野は「数字やデータで物事を見ることが多い。そこから自分の投げの精度などを確認して試合に臨んでいる」。10-1と快勝したチーム軽井沢戦では有利な後攻開始の第1エンド(E)で4得点。勢いに乗ると、第2E以降は不利な先行で得点を奪うスチールに4回成功した。高い修正能力で日を追うごとに成長を遂げている。

競技歴はともに6年。学生生活をカーリングにささげてきた。道外出身の2人はアルバイトで遠征費を稼いだ。鹿野はサロマ湖で漁業の手伝い、飯島は塾講師と飲食店で働いた。2人とも思いは1つ。「さんざんやってきたこのユニホームでは最後。強化指定(強化委員会推薦)チームを1個でも食いたい」と鹿野。昨年地区敗退のペアが道大会を突破してつかんだ全国。互いに修士論文は終わらず、宿舎で書き上げている。少ない時間を縫った練習ではドローの速度を合わせることを徹底した。1つでも多く白星を挙げるために。

前日27日にエキストラエンド(延長戦)で強化委員会推薦の吉田夕梨花(26)松村雄太(30)組に惜敗。飯島は「それをばねにした」と、発奮してこの日の2連勝につなげた。29日の予選最終戦は同組全勝の松村千秋(27)谷田康真(25)組。鹿野は「技術は上ですけど、やることを全部やって勝ちにこだわりたい」。新型コロナウイルスの影響で3月19日の卒業式の開催は不透明。表彰台に上がって、学生カーラーを“卒業”する。【浅水友輝】