ラグビーのトップリーグ(TL)キヤノンが、今季限りで退団した元南アフリカ代表監督アリスター・クッツェー・ヘッドコーチ(HC)の後任として、前サントリー監督の沢木敬介氏(45)と大筋合意に達したことが28日、関係者への取材で分かった。

沢木氏は、現在スーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズでコーチングコーディネーターを務めており、契約期間などの詳細が固まり次第、発表されるとみられる。

TLは、新型コロナウイルスの感染拡大により、シーズン途中の3月に中止を発表。5月末に予定されていた日本選手権も中止が決まり、今季の日程が終了した。キヤノンは、TL6試合を終えた時点で3勝3敗、16チーム中9位だった。

現役時代サントリーでプレーした沢木氏は、SO、CTBとして日本代表でも活躍。引退後はコーチを務め、13年にはU-20日本代表監督に就任。19年ワールドカップ(W杯)日本大会でも活躍したNO8姫野らを指導した。15年W杯ではコーチングコーディネーターとして日本代表に貢献。16年にサントリーの監督に就任すると、当時入団2年目のSH流大を主将に抜てきするなど、大胆な改革を敢行し、前年リーグ9位に低迷していたチームを1年目で優勝に導いた。

19年W杯準優勝のイングランド代表など、海外のチームとのパイプも強く、サントリーの監督退任後は、複数のチームが獲得を目指して動いていたという。

キヤノンは、日本代表SO田村優、SH田中史朗らが在籍。フッカー庭井祐輔ら実力者もそろっており、チームの潜在能力は高い。新シーズンは来年1月の開幕が予定されている。上位進出を目指すキヤノンが、若き名将に改革を託す。

◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田県男鹿市生まれ。秋田経法大付(現明桜)高-日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍した。06年から6年間、サントリーでコーチを務め、13年にU-20日本代表監督に就任。15年W杯ではコーチングコーディネーターとして南アフリカ戦勝利に貢献。16年にサントリー監督に就任。16、17年トップリーグ連覇し、19年2月に退任。