女子は東京オリンピック（五輪）代表の野中生萌（23＝XFLAG）が予選を首位通過し、31日の準決勝進出を決めた。5課題を全完登し、存在感を示した。開催可否に揺れる初の五輪への心境も吐露し、複雑な思いも明かした。同五輪代表の野口啓代や同男子代表の楢崎智亜（ともにTEAM　au）ら男女上位20人が準決勝に駒を進めた。

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野中は3つの課題を一発クリアするなど5課題を全て完登した。約1カ月ぶりの実戦となった23歳のトップクライマーは「自分のパフォーマンスができたのは良かった。悪いところはない」と即答した。

半年後に迫る初の大舞台に照準を定め、1、2月は「フィジカル強化月間」と決めた。筋力トレーニングを週1日から2日に増やし、あえて追い込んだ状態で疲労を抱えながら今大会に臨んだ。体重は変わらないが、特に上腕二頭筋の太さは際立ち「自信を持ってフィジカルは上がっている」と、マッスル美ボディーを強調した。

昨年12月には、東京五輪代表選考基準を巡る裁判の判決が下り、野口に次ぐ代表2枠目に滑り込んだ。1年以上も宙に浮いた代表争いが“問題解決”したと思いきや、五輪の開催可否が揺れる状態で「この状況になっても、五輪をやるのかやらないのか問題が出てきて、いつまでたっても決まらない気持ちがずっとある」と心境を吐露した。

複雑な胸中を抱えるが、現在は五輪への通過点と捉える。夢舞台で花を咲かせるために「トレーニングの成果を発揮して優勝したい」と、まずは2大会ぶりのタイトルに意欲を示した。【峯岸佑樹】