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2022年北京五輪(オリンピック)フィギュアスケート エキシビション<1年前>

22年2月20日午後0時(日本時間同1時)から開始予定


今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2007年1月9日
2007年1月9日

07年1月9日、フィギュア世界選手権日本代表会見を終え、リラックスした表情を見せるフィギュア世界選手権の浅田真央(前列中央)ら日本代表メンバー。前列左から安藤美姫、1人おいて中野友加里、後列左から高橋大輔、織田信成。


今日の出来事

長野五輪女子フリーで、SP2位のタラ・リピンスキー(15=米国)が、クワン有利を覆す大逆転で銀盤の女王に輝いた。(1998年)

15歳8カ月での優勝は、28年サンモリッツ大会のソニア・ヘニー(ノルウェー)の15歳10カ月を抜き、冬季五輪個人種目で史上最年少優勝となった。


長野の夜に伝説が生まれた。15歳8カ月、一番幼い女王が誕生した。84年ロサンゼルス大会。2歳のリピンスキーは、テレビに映る表彰式に見とれた。台所からプラスチック容器を持ち出して上に乗った。13年後、夢を現実に変えた。

「今夜は最高。一番立ちたかった場所にいることができるなんて。これからの人生、どんな困難があっても、この夜を思い出せば乗り越えられると思う」。147センチの小さい体で喜びを爆発させた。金メダルを握りしめ、そしてキスした。

リスクを恐れなかった。3回転ループの連続ジャンプに逆転をかけた。クワンにはない技術のリピンスキーだけができる難易度の高いコンビネーション。着地まできれいにまとめた。まだあどけない表情に、心からの笑みが広がった。勝利を確信した瞬間だった。

2日前のショートプログラムでは、クワンにリードを許した。「2位の方が燃える」。最後のフリー。4番前のクワンの完ぺきな演技にも動揺はなかった。「プレッシャーがあっても自分を信じた。夢の舞台に今いるのだから」。演技が終わると、走り出してガッツポーズを何度も繰り返した。

今季はクワンのあでやかさに勝てなくなった。昨季3戦全勝も、今季は2戦2敗。そして18日のSPもトップを譲った。「なぜか得点が伸びない。すべての面で昨年を超えた自信があるのに」。メディアからもバッシングされた。「優雅さに欠ける」「機械仕掛けのよう」とまでたたかれた。

「プレッシャーと闘って復活する。私はできる」。10代のライバル対決。周囲のけんそうをよそに、リピンスキーは初めての五輪を楽しんだ。競技の2週間前に来日した。自分より6倍以上重い大相撲の横綱曙とも対面。選手村ではEメールを家族に送った。「長野ではリラックスできた」。少女らしい天真らんまんさを取り戻した。

9歳から母と二人で、コーチを求め米国内を渡り歩いてきた。「小さいころからこの日のために、毎日苦しい練習を積み重ねてきたから」。最後の10代女王対決。この長野の夜は、永遠に語り継がれる。