東京五輪代表補欠の松田瑞生(25=ダイハツ)が、復活の初出場初優勝を飾った。23キロ過ぎから独走となり、自己ベストに4秒迫る2時間21分51秒を記録。1年前の五輪代表落ちで流した涙から、再出発した。同じく補欠の小原怜(30=天満屋)は2時間32分3秒で18位。補欠の1番手は小原だが、日本陸連の瀬古利彦マラソン戦略プロジェクトリーダー(64)は「最終エントリー(7月6日)までは様子を見たい」と説明し、松田の“昇格”にも含みを持たせた。

   ◇   ◇   ◇

1年前の挫折を味わった後、松田は「まずはスタートラインに立つことが怖くなった。何度もやめようと思った」と打ち明ける。それでも励ましのメッセージが次々と届いたことで、再び前を向けるようになった。これまで受けた激励に応える力走を見せ、「勝ちたい思いよりも、走ることでたくさんの方に元気を与えたい気持ちが強かった」。

コロナ禍で高地トレーニングを行えなかった分、平地で1カ月1000キロ超える距離を走り込むなど、スピードとスタミナを再強化してきた。

前年の大阪国際女子マラソンではニューバランス製の非厚底シューズで好タイムをマーク。それでもその後、ナイキ製厚底シューズを履いた一山に逆転された。この日はその厚底タイプで臨み、「(ナイキの)アルファで負けたので、アルファで勝ちたかった」。勝利への執念も口にした。