男子のエース小林陵侑(24=土屋ホーム)が大飛躍を披露して圧勝した。ただ1人、300点台の合計309・4点で2年連続の優勝を飾った。1回目130メートルに続き、最長不倒だった2回目143・5メートルは夏のジャンプ台記録。ワールドカップ(W杯)遠征前の国内3連勝締めで、金メダル獲得を目指す北京オリンピック(五輪)シーズンへ突入する。

小林陵に風格が漂っていた。1回目130メートルの首位で折り返し、迎えた2回目。風に乗って、ぐんぐん距離を伸ばした。ヒルサイズを超える143・5メートルでテレマークもしっかり決めて着地。歓声を浴びて「たくさんの人が応援に来てくれたので、そのなかでビッグジャンプできたのはすごいうれしかった」と照れ笑いを浮かべた。

2回ともに自身の番でスタート位置をジュリー判断で低く設定された。この日は終始向かい風が吹いており、飛び過ぎてケガする可能性があったからだ。大倉山での大会で「初体験だった」という4番ゲート。1回目に栃本翔平(雪印メグミルク)も同じ記録をマークしていたが、14番ゲートで小林陵の方が5メートル低い。短い助走でも力を効率良く伝えて飛び出した。「ゲートとか関係なくいいジャンプができた」と満足そうだった。

好調の要因はミスした時の修正ポイントがすぐに分かることだ。夏場から「どうやったら飛んでいくか、だいたい分かるようになってきた」。イメージどおりに飛びさえすれば、おのずと結果が出る。

ノーマルヒルとラージヒルの2冠を達成した全日本選手権に続き、国内3戦全勝。勢いに乗って11月の海外遠征に出発する。北京五輪シーズンのW杯前に「飛んでいても楽しい。自信になった」とうれしそうだった。この強さなら、11月20日W杯開幕戦ニジニタギル大会(ロシア)から大ジャンプ連発もありそうだ。【保坂果那】