3年ぶり開催の東北舞台は“宮城アベックV”で幕を閉じた。女子は1月の全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)準Vの古川学園(宮城1位)が、利府(宮城2位)に2-0でストレート勝ち。ドミニカ共和国出身の留学生で身長195センチのタピア・アロンドラ(3年)が国際大会で不在の中、熊谷仁依奈主将(3年)を中心にチーム一丸となり、4大会連続26度目の優勝。男子は東北(宮城1位)が一関修紅(岩手1位)に2-0でストレート勝ちし、3大会連続14度目の優勝に輝いた。

古川学園が「宮城対決」を制し東北女王に輝いた。一進一退の第1セット(S)は終盤に2点リードを許す中、エース阿部明音(3年)の連続得点で逆転し先取。第2Sも阿部を中心に攻めつつ、南舘絢華、高橋陽果里(ともに3年)も躍動し、快勝に貢献。7月開幕の全国高校総体制覇に向け、良い経験を積んだ。岡崎典生監督(53)は「アロンドラがいない全く違う別チームで、よく力を合わせて勝ってくれた」と笑顔で選手をたたえた。

1月の春高バレー準V。主力も多く残る中で臨んだ3月の全国私立高校男女バレーボール選手権は優勝。それでも不安要素があった。

熊谷 アロンや(阿部)明音がたくさん決めたという試合で、両サイドのスパイカーや私自身も課題の残る試合だった。自信がついたよりももっとやらないといけないという気持ちだった。

夏の全国切符をつかんだ後に訪れたエースのアロンドラ不在という“試練”。司令塔は大会を通じてチームメートの変化を感じた。「アロンがいないことで『自分がエース』という自覚を持っていた。気持ちが見えていて、自分も上げやすくて頼もしかった」。アタッカー陣は得点を託されたボールを力強くスパイク。全4試合、ストレート勝ちを収め、他県の代表校を圧倒した。「今日優勝したことで両サイドのスパイカーは自信を持つことができたと思う。自分たちにとってプラスの大会になった」と手応えを示した。

昨夏は全国8強。今年は「日本一」を目標に掲げる。

熊谷 全国大会は(コートの)6人がしっかり戦わないと勝てないと思うので、アロンがいても今日のような気持ちを忘れることなくやって。日本一を目指しているだけでは、足をすくわれるので1戦1戦戦いたい。

着実に1勝ずつ-。夏の頂点に続く階段を、気を引き締めて全員で勝ち上がる。【相沢孔志】