「19度目の正直」を果たす。第74回全日本大学バスケットボール選手権(東京・国立代々木競技場ほか)が3日開幕。仙台大(宮城)は5、6日、関学大、新潟医療福祉大とグループステージで対戦し、6年連続19度目の出場で創部初勝利を狙う。山田恵子監督(38)が「縁の下の力持ち」と認める菅野莉子主将(4年=福島南)が勝利に飢えるチームを統率し、決勝トーナメントの切符をつかむ。

封印のように閉ざされた「初勝利の扉」をこじ開ける。前回大会までは負けたら終わりの一発勝負だったが、今大会は3チームによるリーグ戦を戦い、勝ち上がれば決勝トーナメントに進む。菅野は「本年度は1勝することを目標に練習してきた。ブロックを出れば、去年負けた専大との対戦。ブロックを出てリベンジする形ができたら」。自身は小中高で全国の経験はなく、最後の公式戦にかける思いは強い。

今秋の東北大学リーグは8試合で6勝2敗。東北学院大(宮城)と勝敗は並んだものの、直接対決の平均得点差で優勝を果たした。だが、山田監督は「アグレッシブなディフェンスからファーストブレーク(速攻)を狙うように(チームを)作ったが、1、2割程度しかできていなかった」。東北では全勝優勝が目標だっただけに自分たちのプレーができず、悔し涙を流す選手もいた。

勝つために力を結集させる。1月から主将を任された菅野は「監督からは4学年を見る広い視野や自分のコミュニケーション能力を評価してもらい、『違う意味でチームを支えてほしい』と言葉をもらった」。練習でミスが続いた時は集合をかけ、再び引き締める。出場機会は少なくても、言葉と姿勢でチームメートを鼓舞してきた。中里萌主務(4年=東海大山形)は「(菅野は)まとめる力もあるし、後輩やチーム全体からの信頼がとても厚い人。頼りがいがある」と信頼を寄せる。

勝っても負けても、最後の公式戦。4年生9人の引退も近づいてきた。「練習でできることをどれだけ試合で出せるかで勝敗が決まる。自分がキャプテンになって、みんなが助けてくれたからお互いに成長できた」。仙台大が長年渇望する「初勝利」の3文字を今年こそチーム史に刻む。【相沢孔志】