レギュラーラウンド(RR)4位のNECレッドロケッツが下克上を果たした。同首位の東レアローズをフルセットの激戦の末に下し、6季ぶり7度目の優勝。RR4位からの制覇は1995-96年シーズンにユニチカが達成して以来27季ぶり2度目で、史上最大の逆転劇を再現した。これで昨年末の皇后杯に続き、今季2冠を達成。エース古賀紗理那(26)が24得点でMVPに輝いた。

古賀は笑っていた。幸先よく2セット(S)を奪った前半から一転、猛反撃にあい、2Sを失って迎えた最終Sだった。シックスの中央に立つと、大きな声を出して味方を鼓舞した。12-14まで追い詰められても「絶対にいける!」。チームメートと視線を交わし合った。

タイムアウトを挟んだのちに4連続得点。最後は相手エース石川のアタックを山内が封じ、RR4位からの史上最大の下克上を完成させた。24得点でMVPを獲得したエースは言った。「(セッターの)沢田はチームが苦しい時に私にトスを上げてくる。絶対に決めよう。そういう視野を持ってスパイクを打った」。その一打に覚悟がにじんだ。

ここぞの信頼関係が逆境をはね返した。アタック決定率4位、ブロック決定本数10位、サーブレシーブ成功率10位。チームとしては秀でた数字を誇るわけではない。それでもコミュニケーションを密に取り合い、連係を高めてきた。金子監督は「中心にいたのは間違いなく古賀。古賀が輝けているのはチームメートのおかげ」と言う。古賀も「私たちのチーム力を誇りに思う」と振り返った。一丸でつかんだ栄冠だった。

ファイナルは、これまでの逆転劇の集大成となる勝利だった。東レには4強の総当たり準決勝リーグ「ファイナル4」の初戦で対戦し、ストレート負けを喫していた。だが、後がない状況から久光、埼玉上尾と上位を次々と撃破。2連勝でファイナル進出を決めた勢いを“聖地”で三たび発揮してみせた。「本当にうれしい」。全員で6季ぶりの優勝に酔いしれた。【勝部晃多】