昨年、高校生で唯一の日本代表メンバー入りを果たした秋本美空(2年)が、初戦で姿を消した。

エースとしてけん引する前回大会ベスト8の共栄学園(東京)は、同ベスト4の熊本信愛女学院と対戦。0-2のストレート負けを喫した。

第1セットから徹底マークに苦しめられ、思うようにスパイクを打たせてもらえない。サーブで守備を崩す場面はあったものの、アタックの打数を増やせず、23-25、22-25で敗戦。目標とするセンターコート(準決勝以降)での試合は2年連続でかなわず、「自分が点数を決められなくて負けてしまったので悔しい」。不完全燃焼に、がっくりと肩を落とした。

勝利はお預けとなったが、スタンドで見守った母に勇姿は届けた。12年ロンドンオリンピック(五輪)銅メダルの大友愛さん。普段、寮生活で直接会話ができる機会は少ないが、大会前にはラインで応援メッセージをくれるという。そんな母へ「次の目標はインターハイに行って日本一を取ること」と、新たな目標を掲げ、必ず白星をプレゼントすることを誓った。

昨年4月。初めて代表に選出されると、6月の合宿で約1カ月間トップの選手たちと練習をともにした。コーチから「レシーブがうまいから、自信をもってやったほうがいい」と助言を受けるなど、自身の知らなかった一面に気付かされた。代表のエース古賀紗理那や石川真佑らと直接話す機会はなかったが、「オーラがすごかった」と日の丸を背負う者の覚悟に触れた。夏には世界U19選手権に全試合スタメン出場し、4位。「それより緊張するものはないと思う」と貴重な経験を積んだ。

高校生活は、あと1年ある。自他共に認める「人見知り」だが、最近は「自分がプレーで引っ張っていきたい」と自覚も備わってきた。中村監督からも「彼女なりに理解して責任感や自覚がついてきた。周りには理解されづらいかも知れないけど、がんばっている印象」と評される。「これからも春高に向けてがんばりたい」。世代ナンバーワンの信念を胸に、来春、再びこの舞台に帰ってくる。【勝部晃多】

◆秋本美空(あきもと・みく)2006年(平18)8月18日、神奈川県生まれ。小2で競技を始め、共栄学園中3年時に全日本中学生選抜認定選手に選ばれる。共栄学園高では1年時から全日本高校選手権に出場し、8強入りに貢献。23年に初めて日本代表登録メンバー入り。184センチのアウトサイドヒッター。