昨年8月のインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が0-3(22-25、15-25、21-25)で駿台学園(東京)にストレート負けを喫した。男女を通じ、福井県勢初優勝を逃したが、過去最高の準優勝を収めた。

  ◇  ◇  ◇

0-2で迎えた第3セット(S)。序盤に6点差をつけられながらも、諦めずに迫った。最後は21-25で力尽きたが、確かな進歩を示した。チームトップの19得点をマークした主将でアウトサイドヒッター(OH)の堤凰惺(おうせ)は「どんなに弱くても成長できると証明された」とうなずいた。「最弱」と呼ばれた世代でも、県勢初の決勝の舞台へたどり着くことができた。その誇りが胸を占めた。

入学当初は「春高出場」が現実的な目標だった。1年時は初戦で散り、2年時は8強敗退。年を重ねるごとに力をつけてはいたが、日本一は遠かった。

変化の兆しがあったのは昨春。同校OBの鈴木聖也さん(現愛知学院大)をアナリストとして迎え入れたことで、戦術の幅が広がった。昨夏のインターハイでは3位。セッター丸山英祐(3年)は「自分たちは基礎がなっていなかったが、バックアタックやクイックの決定率を高めることができた」と実感する。秋以降は選手主体でディフェンス強化に目を向け、守備練習の時間それまでの3倍以上となる1時間ほどに増えた。

今大会はその努力が結果に表れた。初戦から4試合連続でストレート勝利。堅実な守りがさえ、準決勝でも前回準Vの鎮西を3-0と圧倒した。この日の決勝では1セットも奪えなかったが、第3Sでは6点差から一時は2点差へと追い上げもみせた。

前回王者に力負けこそしたが、西田靖宏監督(47)は「もう1度スカウトできるなら、彼らをスカウトする」と最上級生をたたえた。試合前には、教え子たちにこう語りかけていた。

「ここまで来ると思っていなかった。駿台さんもいい選手がいっぱいいる。でもこの3年で伸びた量は負けていない」

堤主将はかみしめるように、指揮官の言葉を心に刻んでいた。

「監督が仰っていることは間違いない。試合前に自信にもなりました。その言葉のおかげで最後まで強きでプレーできたと思う」

最弱の世代が見せた進化。成長の跡を示した冬になった。

【春高バレー】スコア速報はこちら

【春高バレー】男子決勝 駿台学園2年連続3度目V、インターハイと2冠/大会最終日写真特集1