柔道の今夏パリ五輪(オリンピック)男子100キロ級の日本代表に内定した東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)が15日、東京・講道館で記者会見した。

前日の全日本柔道連盟(全柔連)強化委員会で推薦が認められ、連続代表に。所属の道場で稽古後に全日本男子の鈴木桂治監督から電話があり「まずは、おめでとうと。ここがスタートラインだから、またオリンピックで優勝するために、今1度しっかり計画を立ててやっていこう、と言っていただきました」と明かした。

東京五輪の後は普及のためメディア出演に努めた一方、成績を残せず。今月上旬のグランドスラム(GS)パリ大会で金メダル後の初優勝を飾り、男女14階級で最後の1枠をつかんだ。本大会では2連覇へ。93キロ級の時代から含め、この階級では前例がない快挙へ「挑めるのは優勝した人間だけだと思うので、そこをしっかりと意識しながら、あと5カ月、しっかり準備したい」と燃えた。

自身のYouTubeチャンネルでは、毎年4月29日に日本武道館で行われる全日本選手権に出場する意向を表明。19年以来5年ぶり2度目の優勝を目指す…と宣言したものの、パリ五輪に向けて国際大会でポイントを積み重ね、シード権の獲得を目指す必要があるため、鈴木監督から“待った”がかかった形。週明けにも強化プランを話し合う予定で「何か言いづらくなってしまって(笑い)。お待ちいただければ」と苦笑いした。

出場可否は今後のスケジュール次第となったが、意欲を示した理由は明確だった。

「やっぱり全日本選手権で優勝するだけの力がないと、この100キロ級の外国人選手に勝つことを考えた時に、試合できないかなというところがあった。日本の100キロ超級の選手たちに勝つぐらいじゃないと、海外の100キロ級には通用しないかなと思うところもある。あと、大きい選手を投げにいくことで、自分の技や力の確認もできる。もちろん全日本で優勝したい気持ちもありますけど、そういった意味での発言でもありました」

ただ、今年の出場に向けては予選の東京選手権から出る必要がある。国際大会との兼ね合いだが「できるだけコンスタントに出た方が試合勘の部分で慣れることができる」。海外2戦、全日本次第では国内2戦の最大4試合をパリへの道に挟む青写真を示した。

5月の世界選手権(アブダビ)については「何が何でも出たい気持ちはないけど、ポイントやシードのことを加味して考えていければ。いずれにしても、五輪2連覇に向けた姿、挑戦を皆さんに見せられるのは今しかない。メディア出演は協会に支障のない範囲で、YouTubeに関してはバンバン出していきたいと思います」とスタイルは貫き通す構えだ。【木下淳】