柔道の全日本男子合宿が8日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で報道陣に公開された。男子100キロ超級のパリ五輪(オリンピック)代表、斉藤立(国士舘大)が22歳の誕生日を迎え、強化選手たちを前にケーキで祝福された。

「22歳す。あ、トゥウェンティー・トゥーす」と海外遠征帰りの英語を披露。自らバースデーソングを歌い「俺って幸せもんだぁ」と主役になった。目標を聞かれると「オリンピックで優勝。金メダルを取るか取らないかで人生が変わる。お父さん(五輪2連覇の仁さん)とのつながりとか、お母さん(三恵子さん)とか家族のために、必ず優勝したい。全てを出し切りたい」と完全燃焼、最重量級の金メダル奪還を掲げた。

先週、ぎっくり腰になったという影響で練習は限定的だったが、復調気配。この春には国士舘大を卒業する。JESグループへの入社に向けて、フランス遠征の後、寮を出て1人暮らしも始めたが、まさかの断捨離をしてしまったという。

「パスポートっす」と照れながら「何も見ず、いろいろ捨てたので。たぶんその中に。紛失届を出して再発行してもらって、フランスに行く前日に何とか間に合いました」と苦笑い。「断捨離するもの間違えました。今ごろ灰になって空に舞ってます…」と遠くを見た。

一方で「良くないことは23年に置いてきたので。24年は再スタートっす」とも話し、今年は前を向けている。昨年は、個人の優勝が人生で初めて1度もなく「落ち込んだ」1年間。その各国スタンプも旅券とともに一新し、父子2代の五輪制覇へ。小さなことは気にしない22歳がパリの頂点へ突き進む。【木下淳】