競泳女子200メートルバタフライと自由形(リレー)でパリ五輪(オリンピック)代表権をつかんだ牧野紘子(24=あいおいニッセイ同和損保)が29日、初の夢舞台での躍動を誓った。

都内で行われている五輪代表の1次合宿に参加中。16年リオデジャネイロ大会、21年東京大会と代表を逃しており「オリンピック出場を目標にして、10年ぐらいやってきた。決まってホッとしています」と現在の心境を明かした。

思いが込み上げたのは、チームメートの話題だった。東京五輪代表落選から3年。パリに向けて前を向けたきっかけは、21年秋に移籍してきた平泳ぎの今井月(23=バローHD)の存在だった。小学生の頃から競い合った1学年下の後輩と練習を共にし「不安に思うことも、月だったら素直に話せるし、分かってくれる。(今井は)おちゃらけているように見えて真面目で練習も一生懸命。パリオリンピックに一緒に行きたいというか、行く前提で話をして、お互いに高めていけていました」と振り返る。

だが、今井は代表選考会で落選。本命の女子200メートル平泳ぎ3位となり、2大会ぶりとなる五輪切符には届かなかった。牧野は今井についての思いを話す最中、涙が止まらなくなった。

「すごく自分の支えになっていました。自分は(五輪に)行ける立場で、彼女の気持ちを考えても(自分が)完全に分からない部分もある。今はいい言葉が思い浮かばなくて…」

自身は200メートルバタフライで2分7秒61の2位、200メートル自由形で1分58秒42の3位に食い込み、三度目の正直でパリに向かう。大切にしたい思いがある。

「オリンピックに行くという権利が自分にはあるので、きちんと無駄にしないようにしたい。月もそうですし、2バタで一緒に決勝を泳いだメンバーもすごく快く送り出してくれた。そういった思いを乗せ、ちゃんと泳ぎたいと思います」

本番まで残すは約4カ月。後悔のないレースに向けた、準備が始まった。【松本航】