昨夏のバスケットボール男子W杯日本代表の渡辺雄太(29=グリズリーズ)が20日、来季からBリーグでプレーする意向を表明した。インスタライブで「日本でプレーすることに決めた」と明言。各クラブとの交渉はこれから始める。

NBAから国内に舞台を移すことに決めた最大の要因は「とにかく試合に出て、大好きなバスケットをしたいから」。グリズリーズ移籍初戦の2月12日、ペリカンズ戦で途中出場ながら11得点を挙げるなど活躍した。だが次戦直前、首脳陣から「今日は出番がない」と告げられた。その日の夜は「身体の水分が全部出た」というほど号泣。「すっきりした気分」になったあと、「20代はどんな理不尽なことにも逃げないと決めていた。もう30代になる。NBAはここまでにして、楽しめる環境でやろう」との思いを強くした。

移籍後は出場5試合のみで、3月初旬から欠場が続いた。当初は右手首負傷とされていたが、その後「個人的理由」となった。これについては「メンタル的なことで休みをいただいた」と説明。日本に戻ることを決め「来季からはもう、自分を追い詰めなくても良い」と心の重しがとれたことで、逆に「抑止力がなくなり、ストレスが一気にきた」。コートに立った瞬間、経験したことのない倦怠(けんたい)感に包まれた。専門家による治療を受け「いまは回復している」と快方に向かっていることを強調した。

今夏のパリ五輪については「もちろん出る」ときっぱり。欠場が続いた3月以降も練習自体は順調に積めていたとし「身体の調子としては、むしろいい」と笑顔。日本代表の強化合宿に早期から参加し、強化試合にも積極的に出場したいとの意欲を示した。

守備力と3点シュートを武器に、6シーズンにわたってNBAでプレーしてきた。世界最高峰リーグで培ったその経験を、日本に還元する。【奥岡幹浩】