昨夏のバスケットボール男子W杯日本代表の渡辺雄太(29=グリズリーズ)が20日、来季からBリーグでプレーする意向を表明した。インスタライブで「日本でプレーすることに決めた」と明言。各クラブとの交渉はこれから始める。

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B1サンロッカーズ渋谷の大江田孝幸ゼネラルマネジャーは渡辺獲得について、「あれだけの選手。どのチームもそうだと思いますが、もちろん興味は持っています」と熱く語った。6シーズンわたりNBAで奮闘したことに敬意を表したうえで、「昨年のW杯のあと、Bリーグがさらに盛り上がっている。夏にはパリ五輪もあり、国内でバスケの話題がさらに増えるという意味でも、Bリーグでプレーしてくれることは意義深い」と力を込めた。

渡辺は昨オフにサンズと2年契約を結んだ。今季途中にグリズリーズに移籍したが、契約内容は引き継がれた。2年目もチームに残るか、フリーエージェントとなるかについて選手側が選択できることになっていた。米メディアによれば今季年俸は約235万ドル(約3億5250万円)で、来季もNBAでプレーすれば年俸は約265万ドル(約3億9750万円)とされていた。

あるクラブ幹部はBリーグでの渡辺の年俸について、「集客効果やグッズ売り上げ効果も見据えれば、3億円はいくのでは」と具体的な数字をあげる。Bリーグでは選手の年俸は基本的に公表されていないが、すでに1億円プレーヤーは多数存在し、最高年俸選手は2億円以上を手にしているとの情報もある。26年から始まる新カテゴリー「Bプレミア」では上限8億円のサラリーキャップ(チーム総年俸の上限制度)が導入される。特例として、各クラブ1人までは1・5億円以上の報酬でも「1・5億円」と計算する「スター選手条項」も盛り込まれる。

今季B1は24クラブ。Bプレミア入りを目指すB2上位クラブも含め、大半のチームが渡辺の存在に興味を引かれないわけがない。その中で実際に手を挙げられる資金力を持つクラブは、10チーム前後とみられる。

渡辺はインスタグラムで「まだどのチームとも交渉をしていない。話をしていくのはこれから。忙しい時間が続くかなと思うけれど、そこも含めて楽しんでやれれば」と話した。Bリーグのレギュラーシーズンが佳境を迎えるなか、スーパースター争奪戦も幕開けする。【奥岡幹浩】