B1仙台89ERSは現在、8勝32敗で東地区最下位と苦しんでいる。ポイントガードとしてここまで全試合に出場している渡辺翔太(26)に現状への思いを聞いた。

2月9日のアルバルク東京戦を終えて、渡辺は重い口調で振り返った。「ずっと同じやられ方をしたり、チームディフェンスで守りたいけれど、1対1で破られたときにヘルプがいなかったり。1人1人のディフェンスマインドがちょっと薄い気がしている」。仙台89ERSはディフェンスのチーム。その根幹が揺らいでいた。

試合後ミーティングでコーチ陣から「第1戦よりいい試合ができていた」とあった。それについては渡辺も同意見だったが、表情が暗い。「そこに達するのがこの試合だとちょっと遅い。それを前半戦で積み重ねていって、やられた後、そこからどう対応していくかまで。課題の、次の次の課題が見えてくるはずなんですけど、その課題が見えてくる前の段階でファイトできていない」。絞り出した言葉には、危機感がこもっていた。続けて「自分が今強く思っていることをコーチ陣としっかり話したい」。取材後には落合ヘッドコーチと1対1で話したという。

バイウイーク(試合のない週)は、基礎を突き詰めた。指揮官に伝えた内容は練習メニューに反映され、チームは課題解決に向け少しずつ、確実に前へ進んでいた。自身は「常にワンプレーワンプレー話そうと決めた。今までうまくいかないときに、集まれないシチュエーションというのができていたけど、無理やりにでもしっかりハドル(円陣)を組んでやろうと意識しています」。練習中、選手同士が積極的に声をかけ合う。その中心には常に渡辺がいた。「まずは気持ちで戦いたい。優しくソフトに戦っていては、自分たちは絶対に勝てない。闘志を試合の最初から出せるように。泥くさく。もっともっとみんな出せる、もっともっと強度の高いディフェンス、強気のオフェンスができると思う。それをファンの皆さんに見せたい。今年は見ている人も『エネルギー量が足りないのかな』と思うバスケをしちゃっているかもしれない。そこが本当に悔しくて。だからこそ、厳しく」。危機感と悔しさが、渡辺の闘志を燃やし続けている。

バイウイーク明けも勝ち星はつかめず、連敗は現在「9」。東北ダービーとなった5日の秋田戦で敗れた後、チームが大切にする「GRIND」とは何なのか、あらためて聞いた。「勝ってようが負けようが相手よりもディフェンスの強度を落としてはいけない。もしミスしてもそれをみんながヘルプし合えるかとか、困ったときにみんなで集まって話せるかとか、相手が速攻でレイアップに行くとき、間に合わなくても戻れるかだったりとか。見ている人が頑張れる活力というのを、自分たちがプレーとして体現できればそれはGRINDになっていると思う。今はそれができていないと思います」。

特別指定選手として仙台に加入した19-20年シーズンから6シーズン。仙台89ERSのGRINDとともに成長してきた。B2プレーオフ準決勝、21年5月のアダストリアみとアリーナで流した悔し涙も、22年5月の高松市総合体育館で見せた満面の笑みも、それはすべてGRINDの先にあった。今季も残り20試合。「見ている人に黄援してよかったと思えるようなバスケをしていきたいと強く思う。自分たちが掲げているGRINDは絶対にぶらしてはいけない」。まだ20試合ある。仙台の魂は「仙台89ERSのバスケット」を体現することを諦めない。【浜本神威】

【バスケ】B1仙台が「東北ダービー」で秋田に大敗 落合HC「僕の未熟さだと思う」課題山積み