<大相撲名古屋場所>◇11日目◇22日◇愛知県体育館

 元大関で西前頭13枚目の出島(35=武蔵川)が現役生活にピリオドを打った。この日、豊ノ島にはたき込まれて9敗目。取組後、名古屋市内の部屋で会見し「(引退の)気持ちを固めて(師匠に)相談させていただきました」と話した。師匠の武蔵川理事長も「今場所を見ていて体力の限界だと思った。本人が話に来たので決めた」と承諾した。

 引退を決めた理由について出島は「自分の相撲が取れなくなったのも1つだけど、幕(内)ではなくなることが一番」と説明した。角界では、大関を経験した力士は十両に落ちてまで相撲を取り続けないのが一般的。大関から陥落後、48場所も土俵を務めたのは史上最多だった。

 鋭い出足が持ち味で「出る出る出島」のキャッチフレーズでも親しまれた。西関脇だった99年名古屋場所では曙、貴乃花の両横綱を相次いで撃破して初賜杯。一番の思い出は「初優勝の時の貴乃花関との一番」と振り返る。場所後に大関に昇進したが、度重なる病気やけがのためわずか12場所で大関から陥落した。

 名古屋は最も思い出深い場所でもあった。初優勝はもちろん、96年の新十両決定や01年の大関陥落とすべてが名古屋。「因縁とは思わないが縁のある場所」と言う。23日に名跡変更手続きを行い、年寄大鳴戸を襲名。「(悔いは)ないです。精いっぱいやりました」とさわやかに話した。今後は部屋付きの親方として、後進の指導に当たる。