思わず力が入りました。10月12日、3位阪神が2位巨人に挑戦したクライマックスシリーズ・ファーストステージの第3戦。2点を追う最終回、鳥谷、代打西岡が何事かささやきあうと見事に連打を決め、巨人沢村を焦らせました。

 結局、あと1本が出ずに阪神は負けましたが、まったく打てずに淡々と負ける試合が多い中で、見せ場はつくったと思います。

 それにしても「あと1本」です。同13日、和田監督が大阪市内で退任会見を行いました。和田さんの口からも、その「あと1本」というフレーズがしきりに出ました。

 ハッキリ言ってベンチが打つ手を打って、あと1本のヒットが欲しい。それを打てるか打てないか。そこは、もはや指揮官の手腕とは関係ない問題だと思います。それだけに悔しい思いがあったんだろうなと推測します。

 こういう話題で思い出すのが今、新監督候補としてメディアを騒がせている金本知憲氏(野球解説者)のことです。広島、阪神でたたき上げてきた打撃は本当に勝負強かった。打ってほしい、ここであと1本というときに本当によく打ったものです。

 12日のCS第3戦前、解説の仕事で東京ドームを訪れていた金本氏とエレベーター前で顔を合わせました。正直、特に深い親交があるわけではありませんが、そこは広島時代から知る仲。スーツを着ていても分かるビルドアップされた体格を見て、思わず言ってしまいました。

 「大変ですな。というか監督より選手で戻ればええやん。ケガもよくなったでしょ。今、金本みたいに打つ選手はおらんからね。兼任監督でもええけど?」

 ぶしつけな言葉に、金本氏は、あきれたような表情を浮かべて言いました。

 「また、何を訳の分からんことを言うとるんよ。あんたは。もうプレーはできんよ。…でも○○○さんより打つとは思うけどね」

 もちろんジョーク。あくまで冗談です。冗談ですよ。でも、こうやってバカ話に合わせてくれる金本氏の性格が好きなんですな。

 ちなみに「○○○さん」にだれが入るかは、言いませんが、阪神時代、よくいじっていた人で、移籍してもまだ現役でしっかり頑張っているあの人です。分かりますよね。

 監督問題の本筋には何の関係もありませんが、ちょっと面白かったので書いてみました。なにしろ「ねごと」なので。失礼。