静岡がいなべ総合学園(三重)を下し、56年ぶり2度目の優勝を飾った。昨秋に続き、東海王者となった。初回に3点を奪うと3回には内山竣(3年)に本塁打が飛び出し、投げても村木文哉(2年)が1失点完投した。スクイズ失敗など細かいミスは出たものの、3試合を通じて投手陣が安定した投球を見せた。今春のセンバツ8強に続き、目標の夏の甲子園出場に向けて弾みのつく優勝となった。

 プロも惚れ込む野球センスを、内山がいかんなく発揮した。3回裏2死、カウント1-2からの内角低め変化球をバットで切るようにしてすくうと、打球は放物線を描き右翼席中段への本塁打となった。

 「体が反応した」と振り返ったが、バットを振り切るのではなく、体の横に巻き付けるようなスイング。手首の返しが強い内山にしかできない打撃だ。「振り切ったらファウルになってしまう。打った瞬間は入ったかなと思ったけど、ファウルになるかもとも思った」。通算12号にベンチで笑顔をふりまいた。

 センバツは3試合で適時打1本と思うような結果は残せなかった。「なかなか調子が上がってこない」。県大会も2割6分7厘で、初戦は3番に入ったが24日の準決勝は6番、この日の決勝は「練習試合ではあったけど、公式戦では初めて」という7番だった。

 栗林俊輔監督(42)は「能力が高いだけに自分に求めるレベルも高い。考えすぎもあるのかな」とみている。準決勝では8回の第4打席で初安打が出た。「少し焦りはあった。1本出て自分のなかでつかんだ感じはあった」。厳しい攻めに対して当てにいく打撃になっていたことを反省し、この日は振ることを意識したという。

 内山に本塁打は出たが、チーム全体では10安打を放ちながら残塁は10。準決勝に続きスクイズの失敗など、課題も残った。栗林監督は「ミスは出るけど大きな舞台を経験したから慌ててはいない」と話した。内山も「追い込まれても粘って出塁できるようにしたい。夏に打てればいいので」と締めくくった。【加納慎也】

 ◆東海大会優勝 「秋→春」の東海大会連覇は今回の静岡で11度目。県勢は74年秋、75年春の静岡商以来2度目。また、ここ3年連続で春の東海王者が夏の甲子園に出場している。