スーパー1年生は早実・清宮だけじゃない! 習志野(千葉)の1年生4番・吉野海都外野手が、先制打を含む3安打1打点の活躍で、2年ぶり4強へ導いた。佐倉シニアではジャイアンツカップで優勝し、巨人長嶋茂雄終身名誉監督(79)から激励された経験を持つ。同じシニアでチームメートだった木更津総合の峯村貴希内野手(1年)もこの日、左翼ポール直撃の3ランを放つなど、そろって大物ぶりを見せつけた。

 「ミスター魂」を持った1年生4番が現れた。初回1死二、三塁。習志野・吉野が1ボールから真ん中高めの直球を振り抜くと、打球は中前へ落ちた。「プレッシャーはありません。4番の仕事はチャンスでランナーをかえすことなので」。派手なガッツポーズはない。淡々と自分の仕事をこなした。

 中3の時、佐倉シニアの「4番右翼」でジャイアンツカップを制覇。優勝チームの特典として、東京ドームの巨人戦で始球式を行い、吉野は右翼の守備についた。始球式後、あの「ミスター」が出迎えてくれた。「長嶋さんがベンチの前で『おめでとう』と言ってくれました」。現役時代のプレーは見たことがないが「親からすごい人だと聞かされました。やっぱりオーラがありました」。佐倉出身の「ミスター」の言葉が励みになった。

 大の巨人ファンで、小学生のころから東京ドームに通った。「小笠原選手(中日)のフルスイングが好きでした」。自身もフルスイングを心掛け、この日は3安打1打点。今大会14打数7安打と好調だが「打率より打点が大事」と、通算7打点を喜んだ。小林徹監督(53)も「4番にいるだけで周りを安心させる。4番の顔をしている」と目を細めた。

 4年ぶりの甲子園へ、あと2勝だ。4年前も佐倉シニアOBの松山大志(日大2年)が1年生4番として活躍した。「先輩のように、自分もバットで勝利に貢献したい」。「清宮世代」の4番が、名門を甲子園へ導く。【桑原幹久】

 ◆吉野海都(よしの・かいと)1999年(平11)5月11日、千葉・船橋市出身。芝山西小では「ツインドルフィンズ」に所属。芝山中では「佐倉シニア」に所属し、中学3年の時、日本選手権優勝。家族は両親と姉2人。173センチ、78キロ。右投げ右打ち。