第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕)の運営委員会が13日、大阪市内で行われ、同大会から甲子園に「ドリームシート」を新設することが決まった。甲子園中央特別自由席内のバックネット付近の118席で、全国軟式野球連盟に所属する小中学生の軟式野球チームの選手を連日、無料招待する。招待選手は毎試合ごとに入れ替える。

 甲子園の特等席の無料開放という思いきったプランは、日本高野連の強い危機感の表れだ。甲子園人気に衰えはないものの、少子化の影響などで少年野球人口は年々減少。中体連の資料によれば、06年は30万2037人だった軟式野球人口が15年は20万2488人に落ち込んだ。日本高野連の竹中事務局長は「未来の球児を確保することが大事」の考えで、昨年から温めていた計画を実行に移した。

 バックネット裏を確保したのも、捕手や打者のすぐ後ろの臨場感あふれる場所からの観戦で、小中学生球児の野球への興味をより高めるため。初年度は旅費など金銭面の負担を軽くするために近畿2府4県のチームが対象になるが、来年度以降は硬式野球チームも含めて招待地域を広げる。観戦の前後には甲子園球場内の甲子園歴史館にも招待。同シートは夏の甲子園大会にも導入される予定だ。

 バックネット裏は一般ファンにとってもあこがれの場所。大会中は徹夜のファンが球場前に列をつくる。そういった熱意を理解した上で、竹中事務局長は「球児をともに育てていかなければいけない。ご理解いただきたい」と訴えた。【堀まどか】