中日が、今秋ドラフトで即戦力投手を中心とした戦略を立てていることが8月31日、分かった。地元の逸材である152キロ右腕、県岐阜商・高橋純平投手(3年)を回避し、大学・社会人投手を1位指名する可能性がある。最速148キロ左腕、駒大・今永昇太投手(4年=北筑)らが候補。リーグ最下位に沈む竜が、投手王国再建で再び輝きを取り戻す。

 中日が「純平指名」を見送る可能性が出てきた。この日までにドラフト戦略の一端が判明。最優先事項を即戦力投手に設定していることが分かった。1位~3位の上位指名を大学・社会人の投手で占める可能性もあり、そうなれば、競合必至である地元の逸材、県岐阜商・高橋の指名は回避せざる得ない。目の前に転がる「金の卵」を我慢してまで、来季確実に戦力になり得る投手の獲得を目指す。

 高橋回避となれば、1位指名の候補になるのは大学生だ。今年1月のスカウト会議でもトップクラスの位置付けをした駒大・今永を筆頭に、明大・上原健太(4年=広陵)富士大・多和田真三郎(4年=中部商)、そして急激に評価を上げている大商大・岡田明丈(4年=大商大高)らがリストの筆頭に挙がる。今永は左肩炎症で今春リーグ戦の登板はないが、評価自体に変わりはなく今後も徹底マークする方針だ。

 即戦力重視の背景にはチーム事情がうかがえる。谷繁政権2年目の今季はシーズン当初から先発の駒不足に頭を悩ませた。開幕からここまで固定されている先発は大野たった1人。若松、小熊ら若手の成長株はいるが、先発不足が下位低迷の1つの原因でもある。1軍レベルに近い先発完投型投手を1人でもほしい。いや、欲を言えば2人、3人はそろえたい。それがフロント、現場の本心だ。

 ドラフト会議は10月22日。最終的に煮詰めていくまではまだ時間があり、それまでは柔軟な姿勢で対応していく構えだ。現在、U18ワールドカップに出場している高橋純平も継続して調査しており、今夏の甲子園を沸かせた仙台育英・平沢大河内野手(3年)や関東第一・オコエ瑠偉外野手(3年)ら高校生野手も高く評価している。他球団の方針も見極めて、本番ギリギリまでシミュレーションを重ねる。

 ◆上原健太(うえはら・けんた)1994年(平6)3月29日生まれ。中学まで沖縄で過ごし、広陵(広島)へ進学。2年夏に背番号18で甲子園出場も、出番はなく2回戦敗退。明大ではリーグ通算12勝8敗、防御率1・92。球種はカーブ、スライダー、フォーク、シュート、スクリューなど多彩。最速151キロ。190センチ、86キロ。左投げ左打ち。

 ◆今永昇太(いまなが・しょうた)1993年(平5)9月1日生まれ。福岡・北筑では甲子園出場経験なし。駒大3年秋に7勝をマーク。神宮大会では3試合14イニングを1失点で優勝に貢献。左肩の腱板(けんばん)炎症のため、今春リーグ戦の登板はなく7月のユニバーシアード競技大会(韓国)も辞退。178センチ、77キロ。左投げ左打ち。

 ◆多和田真三郎(たわた・しんさぶろう)1993年(平5)4月13日生まれ。中部商(沖縄)では1年秋からベンチ入りし、3年夏の沖縄大会準優勝。富士大では1年春からリーグ戦に登板し、通算32勝8敗、防御率1・08。1年秋の神宮大会・国際武道大戦でノーヒットノーランを達成。最速151キロ。182センチ、81キロ。右投げ右打ち。

 ◆岡田明丈(おかだ・あきたけ)1993年(平5)10月18日生まれ。大泉第二中(東京)の軟式野球部で三塁手として野球を始める。大商大高1年から投手に。3年夏は大阪大会8強。大学では1年春に初先発。今春リーグ戦で31イニング連続無失点を記録。通算9勝3敗、防御率1・13。最速153キロ。183センチ、80キロ。右投げ左打ち。