楽天がオリックスに2連勝し、首位タイを守った。先発の美馬学投手(29)が粘りの8回途中2失点(自責1)で今季2勝目。ピンチの時こそプラス思考で、7回まで最少失点を守った。粘投に打線も応え、外国人助っ人に2本塁打が飛び出す快勝だった。

 開き直りの精神が、攻めの投球を生んだ。2点リードの6回1死一、三塁。美馬は四球で満塁のピンチを招いた。頭の中はこうだった。「逆に満塁になってよかった。ゲッツーならラッキー。間を抜けたらしようがない」。割り切って、外角カーブで遊ゴロを打たせた。ラッキー併殺打で、無失点で切り抜けた。

 運も実力のうち。ツキがあると初回に悟った。先頭を捕逸による振り逃げで出し、不運な安打で無死一、三塁。ツイてない…。さらにここで、オリックスの3番糸井に右翼ポール際へ大飛球を打たれた。際どい。リプレー検証の結果は、ファウル。「いつもなら大体ああいうとき、いかれてる。でもファウルだった。あれで『1点はOK』と思えました」。3ランに比べたら“得”だった。

 ポジティブは強気を呼ぶ。再び糸井を迎えた4回は、4球連続外角カーブで見逃し三振。「全然振ってこなかったので、もっといけるかな、もっといけるな、と」。得意の内角見せではなく、外まで広く使った。要所を内角でえぐった。直球は148キロまで出た。8回に1点差とされ、一、二塁に走者を残して交代したが、梨田監督も「代えるにしてはもったいなかった」と評した。味方打線は依然、好調だ。前カードまでチーム本塁打なしだったのがウソのように、ゴームズとウィーラーの1発攻勢で快勝。「点を取られても逆転してくれる雰囲気がある」。8回を投げきれなくても勝てたことに、感謝した。

 ロッテの結果次第ではあるが、今日7日も3連勝を飾れば、日本一に輝いた13年シーズン最終日以来の単独トップに立つ可能性がある。この日早朝、海の向こうでは当時のエース、ヤンキース田中が今季開幕戦に登板した。美馬は「楽天は調子がいいですよ、って伝えたい」。3年前と同じ栄光へ。開幕ダッシュは順風満帆だ。【鎌田良美】