開幕から3戦3敗だったオリックス西が待望の初勝利を挙げた。7安打も6回1失点と粘った。チームを2カード連続勝ち越しに導き、苦しかった思いがあふれ出た。「開幕してから本当にふがいない投球だった。チームの力になりたいと思っても、空回りが多かった。今日こそはと思っていた」。

 11年から6連敗中と苦手の西武に気迫で勝負した。ピンチをしのぐたびに雄たけび。5回2死二、三塁を切り抜けると、右手でガッツポーズを作った。未勝利中はチームメートの励ましや、ファンからの手紙に支えられた。福良監督からの「細かいことを考えず、大胆に」というアドバイスも効果があった。

 これまでも苦労を乗り越えてきた。昨年4月に顔面けいれんを発症。「今まで運がいい方だと思っていたけど、あれでチャラ。本当にしんどかった。人と話したくなかったし、会いたくなかった」。目が開いたままの状態となり、時にはばんそうこうを貼って寝た。克服して10勝をマーク。今回の試練もきっと乗り越えられると信じていた。

 開幕前のチーム必勝祈願で、絵馬に「運」と書いた。やっと勝ち運が巡ってきた。福良監督も「西に勝ちがついて良かった」と喜んだ。西の16年がようやくスタート。ここから、白星を積み重ねていく。【大池和幸】