ラスボス中崎の完璧な火消しだった。広島中崎翔太投手(23)が1回1/3を無失点に抑えて13セーブ目を挙げた。4点リードの8回から登板したセットアッパーのジャクソンが炎上。2失点でさらに2死一、三塁のピンチを背負ったところで、緊急登板した。日本ハム谷口に粘られたが最後は11球目で見逃し三振。9回も大谷を空振り三振に仕留め無失点で、勝利に導いた。

 殺気立っていた。中崎は帽子を目深にかぶり、わずかに見せる奥の目は険しい。眉間にはしわ。額と襟足からは汗が流れ落ちた。グッと体を乗り出して石原のサインをのぞき込む。2点差の8回2死一、三塁。緊急登板のマウンドだった。ファウルが続いても表情は変えない。谷口に投じた11球目。高めのスライダーで見逃し三振に打ち取った。

 「2点差で長打がだめな場面。低めに集めて、高めに見せるところは見せる。それが出来た。しっかり投げきれるボールを選択した。抑えられてよかった」

 石原は何度もインサイドぎりぎりに構え、中崎もそれに応えた。フルカウントからは首を振って4球連続で内角の直球を選択。差し込んで意識させ、最後にスライダー。ただならぬオーラを放ち、圧倒。2失点して走者を残したセットアッパー、ジャクソンの炎上を消した。その右腕で、チームの窮地を救った。

 当然のように立った9回のマウンドでは、2死一、二塁で大谷と対戦。3球で追い込むと、4球目にはこの試合1度も投げていなかったフォークを目いっぱい投げ込んだ。鋭く落ちるボールで空振り三振。「三振を取りに行こうと。2球目が甘かったけど、追い込めたので三振をとれた。よかったです」。魂の13セーブ目で、チームを4カードぶりの勝ち越しに導いた。

 緒方監督は真っ先に中崎の名前を出した。「ザキには苦しいことをさせてしまったけど、頑張ってくれた。今年はそういうポジションで投げてもらっている。明日、リードしていれば最後はザキで締めてもらう」。あらためて絶大な信頼を言葉にした。23歳の守護神が広島にはいる。「お疲れさまでした」。バスに乗り込むときには、もう普段の中崎に戻っていた。【池本泰尚】