侍4番ライバルの1発返しだ。日本ハム中田翔内野手(27)が、「日本生命セ・パ交流戦」のDeNA戦で延長10回に決勝本塁打を放った。9回に筒香に同点2ランを浴びた直後、左翼ポール際に高々と打ち上げる滞空時間8秒の13号勝ち越しソロ。通算150号に王手をかける4番弾で、チームは3連勝、今季最多の貯金5とした。

 無数の視線が、打球を追った。追いつかれた直後の延長10回。迷うことなく、日本ハム中田は初球スライダーをフルスイングした。高く上がった打球は、左翼ポール際に吸い込まれた。決勝の13号アーチ。「打った瞬間、左飛だと思った。風でギリギリ入った」。三塁側ベンチで待つチームメートをたたきつけるようにハイタッチ。両チームの全得点が本塁打から生まれた乱戦に、けりをつけた。

 爆発への伏線は、試合前からあった。DeNAの練習中、中田がおもむろに足を運び、話しかけたのが筒香。侍ジャパンの4番の座を争うライバル。打撃練習中の筒香のバットを手に、何度かスイングした。やや強引に1本、もらうことにした。前夜14日の同戦は3三振を含む5打数無安打に終わった。わらにもすがる思いで2学年下の後輩から、相棒をゲットした。

 フラストレーションを起爆剤にして、見せ場をつくりあげた。新たな相棒で打席に立ったが、1回の第1打席でバットが折れた。ベンチで惜しむように別れを告げ、振り慣れた自身のバットに戻した。6回1死一、二塁の先制機。打たされる形で中飛に倒れると、三塁側ベンチ頭上からのヤジが胸に突き刺さった。思わず「来いや」と言わんばかりに手招きするようなしぐさで応戦した。血が上り、自分を見失う状況だったが9回、ライバルの存在が冷静さを取り戻してくれた。

 2点リードの9回、筒香が起死回生の同点弾で、すぐさま応戦した。火が付いた。「あらためてすごいなと思った」。そして今季最多の貯金5をもたらす価値ある1発。栗山監督は「最後に打ち上げてくる、翔らしい打球だった」とたたえた。【田中彩友美】