巨人村田修一内野手(35)が、自身2年ぶり10度目のサヨナラ打で連敗を5で止めた。2-2の同点9回2死一、二塁で、楽天青山から左前適時打を放った。今季は心の中でホームランを打ちたいと叫ぶ「リトル・ムラタ」を封印。前打者の阿部が敬遠気味の四球で歩かされるのも想定して打席に入り、冷静に仕留めた。劇的勝利でチームは交流戦の勝率を5割に戻した。

 村田が心の中の「村田修一」に問い掛けた。9回2死二塁。前打者阿部の初球は、明らかなボール。楽天バッテリーは阿部を歩かせ、自分との勝負を挑んでくると1球で悟った。屈辱的じゃないか? どでかい1発を見舞ってやらないか? 内なる声に、耳を貸さなかった。「阿部さんが歩かされるのはいつも通り。一塁が空いている時点で分かっているから」。

 四球を見届け、落ち着いた風情で打席に入った。青山の外角スライダーを強振せず、芯で捉えて左前へ。二塁から代走鈴木が生還し、仲間と抱き合った。「(鈴木)尚広さんがセーフになるか微妙なタイミングだったので感極まってる暇もなかった。得点圏で打ててないので貢献できて良かった。ホッとしてます」と、心の波が少し揺れた。

 通算326本塁打の長距離砲。1発の快感は体に染みついている。「自分の中に『ホームランを打ちたい村田』がいるんですよ」。サッカー日本代表FW本田がかつて心の中の「リトル・ホンダ」に従ってACミラン入団を決めたように、村田にも「リトル・ムラタ」が存在する。だが岡本との三塁争いを強いられた今季は、おとなしくさせると決心した。「うまく抑え込んでます。形を崩して打率を下げたくない。チームが勝てばいいんです」。

 10歳の長男閏哉(じゅんや)君からは、これまでの「ホームラン打って」というおねだりではなく「何位なの?」と聞かれるようになった。やみくもに長打を欲しなくなった。だからこそ「考えすぎると良くない。甘い球が来たら積極的に思った通りのスイングをするだけ」との信念がぶれずに、サヨナラ打を生んだ。

 連敗から脱出し「ペナントでいい戦いができるように交流戦の残り4試合を全力で戦いたい」と引き締めた。「みんな優勝するつもりでやっていますので応援お願いします!」。心の底からのリアルな村田の叫びだった。【浜本卓也】