<西武5-1ソフトバンク>◇30日◇西武ドーム

 プロ野球オープニングマンスの3月も今日で終わり。ソフトバンクは劇的開幕5連勝の貯金もあって、初ビジターの所沢でカード初負け越しを喫したとはいえ、6勝3敗の「首位」で4月を迎える。桜満開とはいえ、花冷えの敵地で連敗。少しばかり苦い思いで福岡に戻るが、明日4月1日からはリーグ3連覇を目指す新生・梨田日本ハムとの3連戦が控えている。4月からは6連戦のオンパレード。黄金週間明けまで気の抜けない過密日程が続く。

 「(なかなか流れが来ませんね。とにかく今は我慢、我慢です」。西武との第2ラウンドとなった29日、松中はそうつぶやいてグラウンドに出て行った。先制の左前打に加え、開幕から初マルチを放っても、まだまだ自ら思い描くスイングができていないのだろう。試合後、チームと離れひとり球場に居残ってフォームチェックを繰り返した。

 ファンも王監督も期待する本塁打はまだ飛び出していない。DH志願で臨んだ雪辱の今シーズン。「トリプルクラウン」の打棒が戻らなければ存在価値が薄れていくことは、松中本人が一番自覚しているはずだ。昨年の初アーチは開幕から8試合目。敵地・千葉マリンでロッテ川崎から放った。一昨年の06年シーズン初アーチは開幕2戦目だった。今季は9試合を消化して音なし。松中がレギュラー定着した99年以降、初本塁打が開幕から10試合以上かかったのは過去2度。01年(14試合目)と05年(15試合目)。今年で3度目ということになる。ファンもベンチもやきもきの数字ではあるが、データ的には「安心材料」ともいえる。01年36発、05年は46本塁打、121打点の2冠王である。だが、同時に言えることは「過去」は、もうどこにもないということだ。「あの日」の姿を追い求めても「明日」はまったく違う日がやってくるのである。

 西武との第3ラウンド。ノーヒットに終わった松中は7回に喫した見逃しの三振に首をかしげた。悩んでいる姿は誰より相手チームに悟られてしまう。5年ぶりV奪回を狙うチームにとって「主砲復活」は大前提。左手首を手術し、出遅れていた小久保の1軍復帰も秒読みに入った。長期リハビリを経てグラウンドに戻る先輩に「苦悩」の姿はそうそう見せられまい。(編集委員・佐竹英治)