<広島3-11中日>◇10日◇マツダスタジアム

 オレ竜打線が広島の新本拠地マツダスタジアムをジャックした。広島のエースルイスから3番森野将彦内野手(30)、5番和田一浩外野手(36)が1発を放つなど今季最多17安打11得点の猛攻で圧勝した。記念すべき、新球場のこけら落としで主役を完全に広島から奪った。乱打戦が目立つ今季だが、チーム14本塁打は両リーグ断然トップ。圧倒的な破壊力で順位も再びリーグ単独トップに立った。

 真っ赤に染まった新球場でブルーの軍団が大暴れだ。広島のエース・ルイスをKOし、今季最多11得点。その中心が3番森野だった。3-1とリードして迎えた5回だった。外角低めのスライダーを右中間スタンドへ運んだ。「あまい球を逃さずに打てた」。5-1と突き放す3号2ラン。勝負を決定づけ、ルイスにとどめを刺す1発だった。

 1-0で迎えた3回の第2打席では外角直球を中前にはじき返し2点目をたたき出した。6回には2番手上野からまたも中前へタイムリー。チャンスをことごとくものにして3安打5打点の大当たり。「すべて得点圏にランナーがいた状態だったので、自分の打撃をしようと思った。逆に監督が調子を見て、そうしてくれたんじゃないですか。だから僕も『打てる』と思えた」。落合監督は初回無死一塁の場面を皮切りに、2番井端に合計3度の送りバントを命じた。森野の前にチャンスを演出してくれた指揮官の信頼を自信に変えて、結果を出した。

 試合前から予感はあった。新本拠地のこけら落としという特別な舞台に相手は昨季15勝をあげ、奪三振王のタイトルを獲得したエースを登板させてきた。ただ森野は昨季、ルイスから7打数4安打、対戦打率5割7分1厘と打ちまくった。この日2安打を重ね対戦打率は6割(10打数6安打)。「初球をうたないといけないんです。じゃないと打つ球がなくなる。コントロールがいい投手ですから。常にベースの上で勝負してくる。それをどう仕留めるか」。最初のタイムリーはまさに初球の外角直球を打った。確固たる攻略法を持った「ルイス・キラー」が打線を引っ張った。

 「コツコツとな。それがうちの野球でしょう」。異様な盛り上がりを見せる敵地で快勝した後、落合監督は淡々と話した。開幕2カード目でヤクルトに負け越した直後、会心のゲームで再び単独首位に立った。何より、打線につながりが出てきた。指揮官の淡々とした静かな口調が、逆にこの夜の充実ぶりを示していた。【鈴木忠平】

 [2009年4月11日11時49分

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