<オールスターゲーム:全パ8-10全セ>◇24日◇札幌ドーム
熱狂の札幌ドームを全セのヤクルト青木宣親外野手(27)が、一瞬にして静まり返らせた。地元の大声援に後押しされた日本ハム守護神・武田久を打ち砕き、最大5点差をひっくり返した右越え逆転2ランだった。場内のMVPインタビューでは恐縮していた。「ぼくってKY(空気が読めない)だなと思いました」。肩身のせまい思いを感じながらも、何かが吹っ切れたような笑顔が広がった。
頭でなく、体が覚えていた。1点差に迫って迎えた9回無死一塁。経験のないスランプに苦しむ今シーズン、うまくさばけなかった内寄りの直球にバットが素直に出た。カウントを追い込まれ「ゲッツーだけは嫌だったので、当てにいったらホームランになった。今シーズンは全然打てなくて…今年一番のいい当たりでした」と胸を張った。崩され気味でも、下半身の粘りでスタンドまで運ぶ青木らしい1発だった。
両軍合わせて18得点の乱打戦を制した勝負強さを、全セ原監督は当然といった表情で見つめた。「調子が良くないみたいだけど、私が思っている通りのバッティングをしてくれた。彼らしいパワフルなホームランでした」。世界一に導いたWBCでの頼もしさは、誰よりも知っている。多くのWBC戦士にも囲まれ、交流しながら不振脱出のヒントを探ったオールスターは、好調時のリズムを思い出す最高の気分転換にもなった。
大舞台に強い。06年にもMVPを獲得し、お祭り男ぶりを発揮した。試合前、殿堂入りの表彰を受けた元ヤクルト監督の若松勉氏が「入団1年目に青木を使わなかったのは、監督として失敗だった」と自責の念をこめて言った。前半戦を終えて打率は2割4分9厘と苦しむが、天才ヒットマンに言わせれば持っているモノが違う。「これをきっかけに、後半戦頑張っていきたい」と晴れ晴れとした表情を浮かべた。ようやくトンネルの出口が見えてきた。【柴田猛夫】
[2009年7月25日9時22分
紙面から]ソーシャルブックマーク



