<中日7-0阪神>◇4日◇ナゴヤドーム
わずか2安打。長期ロード初戦となった中日戦で、阪神はチェンにほぼ完ぺきに抑えられた。4番金本でさえ3打席3三振に封じられる中で、一人気を吐いたのが、この日がプロ初スタメンとなった4年目の大和内野手(21)だ。真弓監督が求めてやまなかった新戦力が、暑~い夏を乗り切る切り札になるかも。
大和が飛んだ。左中間に打球が落ちると、迷わず一塁ベースを蹴る。勢いよく頭から二塁に突っ込み、虎に希望の光をともした。「1打席で『速い』と思って短く持つことを考えた」。3点を追う7回の3打席目。先頭で打席に立ち、初球の内角高め146キロを詰まりながら左中間へ。俊足で二塁を陥れ、一瞬だけ快投中のチェンを焦らせた。
「2番二塁」でプロ初スタメン。若さを前面に押し出し、4回にはチーム初安打も記録した。「最初からバットを振って、どんな形でも塁に出ようと思った」。両チーム無得点で迎えた4回1死の2打席目。マウンド上は剛速球左腕、格上のチェンだ。3球ファウルで粘ってカウント2-1からの6球目。内角低めの151キロを右前にはじき返した。終わってみれば、チームはチェンの前に2安打完封負け。9イニングで12三振を奪われ、四死球を1個も取れなかった。つまり、出塁したのは大和だけ。プロ4年目の21歳が完全試合を阻止した。
今季、母やよ子さん(59)との賭けに勝った。かつてハードル走などの陸上競技で5度も国体に出場している母に対し、息子は挑戦状をたたきつけていた。中学校教諭のやよ子さんは来年3月で定年。母が先に教員生活を終えるか、息子が先に1軍に上がるか。2人で条件を設定した勝負はシーズン開幕早々に片が付いた。大和が4月14日に1軍初昇格。電話で「楽勝でした」と報告すると、敗者は「良かった。良かったね」と喜んでくれた。「でもね、親孝行はこれからですよ」。この日はプロ2度目のマルチ安打を記録したが、余韻に浸るつもりはない。
試合後は8回裏の二塁守備を反省した。0-4となり、さらに1死二、三塁。ここで前進守備をとりながら、9番チェンのゴロを本塁送球したが、三塁走者を仕留められなかった(記録は野選)。決して責められるプレーではないが「あそこでアウトを取れば、大量点につながらなかった」とポツリ。真弓監督は「力をつけている」と評価し、関本、赤星が離脱する中、今後の出番も増えそうな気配。痛い辛い敗戦の中、大和がまばゆい輝きを放った。
[2009年8月5日10時45分
紙面から]ソーシャルブックマーク




