<阪神2-1広島>◇22日◇京セラドーム大阪
ともに戦う、ともに喜ぶ-。阪神が終盤の粘りで今季7度目のサヨナラ勝ち!
決めたのは神様・桧山進次郎外野手(40)だ。センターへライナーではじき返し、桧山自身5年ぶりの殊勲打となった。8回裏の勝ち越し機、併殺打に倒れた金本知憲外野手(41)がヘルメット投げ、バットを折るほど悔しさをあらわにして見せた勝利への執念が実った。阪神は再び4位に浮上、クライマックスシリーズ(CS)圏3位のヤクルトとのゲーム差を8・5に戻した。逆襲の夏は終わらない。
センターへの打球を見つめながら、桧山は確信していた。「オレはヒットだと思っていた。でもサヨナラだってことを忘れていた」。9回裏1死満塁。代打の切り札は、ハーフライナーの打球を中前に運んだ。俊足の中堅赤松のグラブに、収まった。地面にバウンドしたかどうか。微妙なシーンも判定はヒット。もう1人、快打を確信していた新井が好スタートでホームに滑り込む。桧山は歓声で我に返った。「ワーッと言う声でサヨナラだと気づいた。それだけプレーに入っていた」。桧山だけじゃない。誰もが無我夢中になって、つかんだ勝利だ。その伏線は8回裏。今季7度目のサヨナラ劇には、あまりにも濃密なストーリーがあった。
怒りが大きな力を生んだ。同点で迎えた8回裏1死一、二塁。打席には金本が入った。勝ち越しの期待がかかる場面で、大竹からスイッチした広島シュルツに対し、遊撃への併殺打に倒れた。この直後だ。主砲は思わぬ行動に出た。
鬼の形相でヘルメットをたたきつけ、手袋を乱暴に脱ぎ捨てた。これだけでは終わらない。ベンチ前のフェンスを右足で蹴った。そして右手でバットを持ち、ベンチの中で2度、激しくたたきつけた。さらに、折れたバットをロッカールームにつながる通路に放り投げた。悔しさを体全体で表す背番号6の背中が震える。ベンチの選手たちの表情も凍り付いたように引きつり、スタンドもざわついた。
道具を大切にする男が見せた異例の光景…。クライマックスシリーズ進出にまだ望みがある状況で、前夜はまさかの完封負け。そして、この日も劣勢の展開。もどかしい思いが積もり積もったのか。岡野手チーフコーチは「勝ちたい、打てなかった悔しさ。それしかないよ。オレも初めて見た。サヨナラにつながる言葉にならない起爆剤だった」と代弁した。
大黒柱の激情は、チーム全体に緊張を走らせた。最終回の攻撃は新井が執念の中前打で出塁。葛城のバントでは野選という相手のミスも誘った。そして最後は桧山が決めた。「金本さんもここが勝負と分かって、打席に入った。自然とそういう風になったと思う」と、自身5年ぶりとなるサヨナラ打を放ったヒーローは思いをくみ取った。
これで再び4位に浮上したが、置かれた立場の厳しさは変わらない。3位ヤクルトにはまだ8・5ゲーム差もある。残り試合は40試合を切った。だが、あきらめる状況ではない。金本が魂の叫びで表した。
真弓監督は「昨日も点を取っていなかったし、そういう心理状態にもなる。そういう(カツ)意味もある」と厳しい表情で受け止めた。主砲の怒りが猛虎を蘇生(そせい)させるか。真弓阪神の変身を信じたい1戦になった。
[2009年8月23日12時13分
紙面から]ソーシャルブックマーク



