楽天が、東尾修氏(59=野球評論家)を来季監督として招聘(しょうへい)する構想を白紙に戻したことが4日、明らかになった。4年間指揮を執った野村克也監督(74)の後任監督として、複数の候補の中から東尾氏に絞り込んでいたが、9月中に方針転換していた。東尾氏より、さらに若い世代を、3代目監督に迎えることをテーマに再検討。この日でクライマックスシリーズ(CS)進出が消滅した広島マーティー・ブラウン監督(46)が最有力候補として浮上した。

 衝撃的な方向転換だった。9月の初旬まで、楽天の次期監督は、東尾氏に一本化されていた。ところが、野村監督率いるチームが、次々に劇的な勝利をものにしていった9月中旬になると、監督人事にも劇的な「うねり」が生じていた。関係者によれば、その期間に球団トップから、東尾氏に方針転換の連絡があったという。9月25日の西武戦(西武ドーム)の試合前、東京・立川市内の選手宿舎で球団幹部は、野村監督に対し、東尾氏が次期監督を務めることはないと、当初の構想が完全に白紙になったことを明かしていた。

 東尾楽天の準備も進んでいた。関西を拠点としている野球評論家に、打撃コーチ就任の打診をするなど、東尾氏の意向に沿った組閣作業も行われていた。あとは正式なオファーを待ち、組閣作業を行うだけの状況だったが、最後にどんでん返しが待っていた。

 リストアップしている複数の候補から最有力には広島ブラウン監督が躍り出た。若さを追求した結果だった。野村監督は、新規参入の球団を、創設5年目にしてAクラスに導いた。ファンの野村監督続投への期待も、日に日に膨らんでいくのを、球団も肌で感じていた。偉業と言っていい成績を残した名将が勇退するだけに、後任監督は、若ければ若いほど望ましい。監督交代に対する、ファンの理解を得るために、球団は方向転換の道を選択したもようだ。東尾氏は野村監督よりも一回り以上若い59歳だが、ブラウン監督は46歳。インパクトは十分な年齢差だ。

 若さに加え、ファンサービスに積極的なブラウン監督の姿勢も魅力だ。ファンとの近い距離感も、地域密着を掲げる楽天にはうってつけといえる。この日、ブラウン監督が、CS進出を逃したことで、今季限りで広島のユニホームを脱ぐ。そのため、来季の楽天監督就任に支障はなくなった。

 この日、Kスタ宮城を訪れた三木谷会長は、後任監督に関して「おれに聞いても何も出ないよ。おれに決定権ないから。(島田)オーナーに聞いてください」とだけ話した。楽天は、両チームのシーズン終了を待って、ブラウンサイドにオファーを出していくことになる。

 [2009年10月5日7時48分

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