<巨人2-3阪神>◇14日◇東京ドーム

 阪神関本賢太郎内野手(31)がひそかに「神話」を続けていた。初回だ。巨人ゴンザレスの初球145キロ直球をコンパクトに振り抜いた。打球は右中間方向に伸び、スタンド前列に飛び込んだ。先制の1号ソロ。「簡単に終わりたくなかったので、どうにか塁に出ることだけを考えていた」。実はこの1発は勝利の予兆だった。巨人戦で関本がアーチを放てば、これで6連勝。03年9月19日から継続中のG倒弾だった。

 先制パンチと同時に、不安を一掃する本塁打となった。この日、巨人の先発予想は左腕の内海。阪神ベンチもそう読んでいたと見られる。メンバー交換を終えた瞬間、真弓監督は驚いた表情で2度も「ゴンザレス?」と声を上げた。ただ今の布陣では、あまり投手の左右で大きく変わることはない。右腕ならば、2番打者に平野を起用するぐらいだ。勢いに乗る真弓阪神は、この「読み違い」も追い風にした。指揮官は言う。「平野よりも打っている。相性がいい。変わってないんじゃないかなと思う」。

 昨年の対戦成績は、9打数4安打で打率4割4分4厘。四球を2つも選んでいる。ちなみに平野は1割台だ。関本は右中間への放物線をこう振り返った。「手応えはよかったけど、まさか入るとはね」と想定外のソロをアピールした。それでもゴンザレス攻略を知る男だけに、偶然の産物ではない。KOこそできなかったが、値千金の価値があった。

 [2010年4月15日11時17分

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