<阪神7-1中日>◇23日◇甲子園
お兄ちゃんが帰ってくるまで頑張ります!
虎の新4番新井貴浩内野手(33)がお立ち台で声を張り上げた。難敵中日チェンを向こうに回し、5回2死満塁で走者一掃の3点タイムリー。4、7回にもヒットを放ち、4番初の猛打賞。金本不在の打線の中心で見事な活躍を見せた。「お兄ちゃん」と慕う金本が帰ってくるまでと言わず、ずっ~と頼もしい「弟」でいて下さい!
高揚感を抑えられなかった。今季初めて上がった、本拠地甲子園でのお立ち台。4番の仕事を全うした男は、クラブハウスへ引き揚げた「主」に向かって言葉を投げ掛けた。
新井
お兄ちゃんが帰って来るまで、しっかり頑張ります。
その瞬間、甲子園はこの日一番の歓声が上がった。言葉の先の人物を誰もが分かっている。右肩痛で4番を外れ、代打に回るアニキ金本。「まずは万全の状態に戻して下さい」。新井の言葉には弟分としての思いが存分に込められていた。
5回。かつて広島で4番を張った男の本能が目覚めた。マートンの適時二塁打で2点差とし、なおも2死満塁。追加点を奪う絶好機に燃えた。難敵チェンに連続ファウルで簡単に追い込まれていた。だが、極限にまで達した集中力は途切れない。「みんながつないでくれた。何とかしようと、とにかく集中していた」。4球目。144キロの外角直球に目いっぱい腕を伸ばし、気迫で右翼手野本の頭上を越しせた。走者一掃の3点適時二塁打。リードを5点に広げ、試合を決めた。
「ケーシー(フォッサム)が初先発の時に援護できなかったから。何とか追加点をと思って打った」。3人目の走者が本塁へ生還するのを見届けると、主役は二塁ベース上で両手をポーンとたたいた。グラウンド上ではほとんど喜怒哀楽を出さない男が珍しく、素直な思いを表現した。4番に掛かる重圧に勝った。
金本の連続試合フルイニング出場が途切れ、球界に衝撃が走った4月18日の横浜戦。阪神で初めて4番に座った新井は適時打を放ちチームの勝利に貢献しながら、試合後の表情はさえなかった。「阪神の4番は金本さんしかいない。だから(右肩が)完治して戻ってくるまで、しっかり頑張るしかない」。広島時代から慕い、FA移籍と同じ道を追ってきた兄貴分。どこか照れくさい部分もあり、面と向かって本音を伝えられないところもある。ならば結果で示す。それが金本の背中を見て学んできた、プロの世界で生き抜く術だ。
4回には2死一塁でもチェンから中前打。08年4月を最後に対チェン15打席連続ノーヒットだったが、16打席ぶりにHマークをともした。中堅セサルが三塁へ送球した隙をついて一気に二塁へ。ここでも常に先の塁を狙う、金本の魂が乗り移ったような全力プレーが光った。「チェンにはチームとしてもやられているし、攻略できたのは大きい。いい投手だから」。その先導役を担ったのは、間違いなく「4番新井」のバットだった。【石田泰隆】
[2010年4月24日12時15分
紙面から]ソーシャルブックマーク



