楽天福盛和男投手(34)が今季限りで現役を引退することが6日、分かった。仙台市内で取材に応じ、今年5月に手術した右ひじの回復が思わしくなく、日米16年間の選手生活との決別を決めた。昨年は6月に米大リーグのレンジャーズから復帰し、球団のクライマックスシリーズ(CS)初進出に大きく貢献した。今季も守護神を任されたが、右ひじ痛で3月28日に出場選手登録を抹消され、復帰を目指しリハビリを行っていた。今後は、チームには残らず、外から野球を勉強する予定。

 福盛は努めて笑顔で言った。「引退を決めた途端、ケガが痛くなくなるって、よく言いますよね。まだ痛いです。全然、よくならなかった」。右ひじの違和感で開幕から2戦連続して抑えに失敗し、出場選手登録を外れた。関節内に軽度の水腫があるのが分かり、5月13日にクリーニング手術を受けて後半戦での復帰を目指したが、患部は思うように回復しなかった。

 実戦復帰した8月25日のイースタン・リーグ日本ハム戦(鎌ケ谷)。1/3回で2被本塁打。「最速139キロでしたが、130キロも出ていない感覚でした」。迷っていた引退の決断を促される登板となった。その日のうちにチームを離れ仙台に戻り、翌26日、球団に引退の意向を伝えたという。1軍も2軍も、シーズンの佳境を必死に戦っている時期だけに、個人的な現役引退の公表を控えていたが、16年間投げ続けた右ひじは、限界を超えていた。

 昨年は、守護神として球団初のCS進出の立役者となった。FA移籍したレンジャーズから再入団後、7月8日に復帰して、翌9日のロッテ戦で2回無失点で白星をマークした。チームの連敗を8で止める好救援で、以後は破竹の7連勝。後半戦の快進撃を呼び込んだ。今季序盤、福盛が2軍に行くと、小山は「福盛さんがいない分、僕が頑張ります。去年は、福盛さんがブルペンの雰囲気をよくしていたんです」と話していた。フロントも、昨年の躍進は、福盛の加入効果が大きかったと言っている。

 414試合登板は、楽天の投手ではダントツ。メジャーも加えた16年目右腕は、若手の多い投手陣の兄貴的存在だった。久米島キャンプでは、田中や永井ら若手のリュックにダンベルを忍ばせたり、イスに松ヤニスプレーを吹きかけたり、ウイットに富んだイタズラをして、厳しい練習の合間に笑いを誘った。

 「野球には未練はない」と言い切る。ただし「僕、実は、じいちゃんっ子、ばあちゃんっ子なんですよ。宮崎・都城で応援してくれた2人に、来年は野球する姿を見せられないのだけが残念ですし、心残りです。2人とも『頑張ったね』って言ってくれたんですけど」。今後は、グラウンド外に新たな戦いの場を探すことになる。

 [2010年9月7日9時5分

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