<横浜0-4巨人>◇5日◇横浜

 横浜は身売りが表面化して以降、初めて本拠地横浜スタジアムでの試合で巨人に完封負け。試合前、右翼応援席を訪れた加地隆雄球団社長(69)がファンの激励に涙する一幕もあった。

 試合前の横浜スタジアムのスタンドから引き揚げてきた加地球団社長は、隠すことなく、手のひらで目をぬぐった。「涙が出そうだよ。うれしい。本当に涙が出ちゃったね」。顔は笑いながらも、目は真っ赤になって潤んでいた。

 3月の開幕以来、本拠地での試合前は右翼応援席に足を運ぶのを恒例としていた。新潟移転などもささやかれ、罵声(ばせい)を浴びることも覚悟していた。しかし期待は、いい意味で裏切られた。「(横浜)残留おめでとう」「社長頑張れ」「来年も一緒に戦おう」と激励された。「もっと(補強に)金を出せ」と批判的な内容もごくわずか。応援団に導かれ壇上で両手を振ると、一部からは「社長」コールもわき上がった。前日、買収交渉を行っている住生活グループが「こちらから新潟移転という話を持ち出したこともない」と発言。横浜残留が基本路線と確認されたこともあったのだろう。ファンは意外なまでに温かかった。

 身売り騒動発覚後からはスポンサーや自治体などへの事情説明に追われる毎日だった。張りのある声で「新潟という話が1人歩きしているけど(今後も)この場所で頑張ってやっていきますよ」と、改めて横浜とともに歩む決意を示した。【鈴木良一】

 [2010年10月6日11時47分

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