住生活グループへの球団売却問題に揺れる横浜の尾花高夫監督(53)が、来季続投を前提として若手のレベルアップに乗り出した。宮崎のフェニックス・リーグで14日、1軍監督としては異例のチーム指揮を執っていることに「シーズン後半から決めていた。若い人の考え方が一流にならないと、底上げにならない」と若手指導に積極的に取り組む姿勢を示した。

 住生活グループは監督続投を含めた来季の球団人事に「まったくの白紙」との方針を示した。自らの去就問題にも発展する可能性を秘める中にあっても、尾花監督は来季を見据えて「現場にできることをやるしかない」と話した。

 13日には加地隆雄球団社長(69)も宮崎入り。白紙発言以降、初めて監督と顔を合わせた。「身売りについては話をしていない。あうんの呼吸。(フェニックスでの指揮)ご苦労さまと言いました」。両者とも「白紙発言」には過剰な反応は見せず、粛々と来季への準備を進めていることを周囲に印象づけた。

 加地社長は「(売却問題について)私から発信できることは少ない。向こうから何も言われていないのだから」と受け身の立場を強調するが、一方で球団トップとして来季への強化を止めるわけにはいかないのも事実だ。昨オフは新監督の正式就任が11月後半にずれ込み、それによる戦力把握の遅れが最下位の要因の1つともされた。「シーズン終了直後からスタートできることを、プラスにしなくてはだめ」と尾花監督。「とりあえず防御率3点台。一気に下げるのは無理。巨人だって2点台にするのに4年かかった」。具体的な数値目標を掲げて熱弁を振るうその視線は、はっきりと来季を向いていた。

 [2010年10月15日8時29分

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