阪神が緊急事態を迎えた。城島健司捕手(34)が9日に大阪府内の病院で左ひざ半月板の手術を受け、12日に退院した。球団が発表した。試合復帰まで6カ月かかる見通しで、来季の開幕戦(3月25日ヤクルト戦)出場は絶望的となった。今季終盤に左ひざに違和感をおぼえたがプレーを続け、シーズン終了後に精密検査を受けていた。ベテラン矢野燿大捕手(41)は引退し、昨季活躍した狩野恵輔捕手(27)は11日に腰椎(ようつい)椎間板ヘルニアを手術した。若手でしのぐか、緊急補強か。対策が急務となった。

 攻守の要が開幕から欠けることになった。城島は9日に「左ひざ半月板損傷に対して半月板縫合術」を受けた。この日に退院したが、今後は経過を見ながら、リハビリに取り組むことになる。

 球団を通じ「来シーズンに万全の状態で臨むためには、今、このタイミングで手術するのがベストだと判断しました。来年の開幕戦には元気な姿をファンにお見せできるように、最高のパフォーマンスができるように、しっかりとリハビリに励みたいと思います」とコメントしたが、開幕戦出場は絶望的だ。常川チーフトレーナーによると「ゲーム出場の見通しは6カ月。結果的に(症状は)重かった」。試合復帰は最短でも5月中旬になる。

 シーズン後半戦から、城島は左ひざに違和感を覚えていた。真弓監督は「後半戦に甲子園での巨人戦だったか、サードにスライディングした時じゃないかな。痛いとかじゃなく、違和感が出たみたい」と言った。9月20日の試合とみられる。その後もグラウンドで痛みに表情をゆがめる場面もあった。それでも本人は「痛いとかかゆいとか言ったことはない」とマスクをかぶり続けた。

 目標だった全試合出場をスタメンで達成し、巨人とのクライマックスシリーズ第1ステージでもホームを守った。代償は大きかった。シーズン終了後の精密検査で損傷が発覚し、手術に踏み切った。救いは城島が明るさを失っていないことだ。「オーナー杯ゴルフ、優勝目指していたのに残念です…」と得意のジョークを飛ばした。

 マリナーズから5年ぶりに日本球界に復帰した今季は打率3割3厘、28本塁打、91打点。チームを2位に引き上げる原動力になっただけに、影響は大きい。しかも開幕ダッシュを図る重要な時期に、チームの中心が不在となる。真弓監督は城島と会話を交わしたことを明かした。「『もっと早く出たい、出られるように』とは言ってたけど、6カ月というから、開幕はやっぱり難しいんだろう」。捕手は上下動の多いポジション。ひざの負傷だけに、慎重にリハビリに取り組む必要はある。

 代役候補が次々離脱している状況も緊急度を増加させる。矢野は引退し、昨季活躍した狩野は11日に腰椎椎間板ヘルニアのクリーニング手術を受けたばかり。狩野の打撃を買って今季途中から外野手として起用した真弓監督は「捕手に帰すことは考えてない」と言う。期待を込めて小宮山、清水ら若手でまかなうリスクをとるのか、FAやトレードでの補強に出るのか。捕手は安泰と思われていた阪神に難題が降りかかった。

 [2010年11月13日8時58分

 紙面から]ソーシャルブックマーク