名リリーバーが「純白」の発進!!

 広島に新加入した豊田清投手(39)が20日、広島・廿日市市内の大野練習場で始まった合同自主トレに参加し、チームに初合流した。真っ白な練習着で登場し「戦うため広島に来た」と気合十分。マイペース調整で、救援陣の一角を奪いに行く。

 真っ白な心境を示す「戦闘服」だった。純白のウインドブレーカーに身を包み、新人選手らに混じって、キャッチボールを行う豊田は貫禄十分だった。右足ですくっと地面に立ち、感触を確かめながら力強い球を投げる。5分、10分…。他の選手が続々と引き揚げても、じっくり取り組む。グラウンドに最後まで1人残り、丁寧に投げ込んだ。

 豊田

 緊張するし、受け入れてもらえるか不安だし…。苦手なんです。人見知りが激しいので。去年、シーズン半分(2軍にいて)やっていない。(体に)ガタが来ていないし、オフはずっと投げていました。(キャッチボールは)いつも30分くらい投げている。もう少しやりたかった。

 初練習で順調な発進だ。視察した大野投手チーフコーチも仕上がりぶりに納得顔。あいさつに駆け寄ったベテランに「自分のペースを崩して飛ばしすぎても困る。自覚に任せたよ」と声を掛けた。その心配は無用だ。新チームでは手探りのため、あらゆる練習をナインと同じように動いてもおかしくないが豊田は違う。キャッチボールではマイペースで黙々と投げ込んだ。

 豊田

 契約のときに「戦力」と言われている。(若手に)教えるというより自分のプレーで精いっぱい。戦うために広島に来た。

 24日には合同自主トレのため、沖縄入りする予定。1軍キャンプでも首脳陣への猛烈アピールよりも、冷静に自らの調整をこなすスタンスだ。西武時代の02、03年にセーブ王に輝いた。第一線で働くようになった96年以降、7度リーグ制覇に貢献するなど、通算157セーブの実績は申し分ない。2月2日には40歳になる。救援陣の一角に加わるためにも、まずは体をベストの状態に整えることを最優先させる構えだ。

 心は「カープ色」に染まっている。11月下旬に広島と契約を結び、すぐに真っ赤なスパイクを発注した。「もう結構、履いていますよ」。チームになじもうと準備も重ねてきた。この日は若手の川口に声を掛け、キャッチボールを行った。大野コーチも「経験を積んだ人がいるのは大きい」と言う。若手への刺激、そして戦力アップ…。実力派右腕が、チームに新たな風を吹き込む。【酒井俊作】

 [2011年1月21日11時21分

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