清原和博氏(日刊スポーツ評論家)が10日、東日本大震災の被災地で炊き出しを行った。宮城・石巻を訪れた後、南三陸町へ向かう途中、道端の丸刈り頭の集団が目に留まった。
「高校球児やな。戻ってくれへんかな」。Uターンしてまで車を乗り付けた先は、石巻工高だった。津波をかぶったグラウンドを復旧させるため、泥やゴミを除去する作業で、白石工高と柴田高からも野球部員が手伝いに来ていた。
突然のスーパースターの来校に、球児たちは一瞬事態をつかめなかった。戸惑いながら帽子を取って「ちわッス」とあいさつするのがやっと。だが徐々に実感がわき出し、清原氏の周りに幾重もの人の輪をつくった。学校の枠を超え、復興を目指す生徒たちの話を聞いた清原氏は、強く感動。心からのエールを返した。
清原氏
甲子園でホームランを打つやつよりも、ここで頑張ってる君たちの方が、ずっとかっこええよ。
そしてサインボールとサイン入りバットを送り、1人1人と握手をして、同校を後にした。石巻工高の黒川慎朔主将(3年)は「言ってくれている方が、かっこいいですよね」と感動。たぎる思いを抑えきれず、整備したばかりのグラウンドでノックを始めた。
清原氏は南三陸町、気仙沼市でも炊き出しを行い、被災地を大いに元気づけた。「本当は現役選手が元気づけに来るのが一番。自分が現役ではないことを、こんなに歯がゆく思ったことはない」と唇をかむ。だが少なくとも、偶然出会った球児たちの心を、強く奮い立たせたのは確かだ。【塩畑大輔】



